堀田真由 「大奥」で徳川家光役 「食事が喉を通りにくくなるほど引きずってる」

[ 2023年1月17日 08:00 ]

ドラマ「大奥」で徳川家光を演じる堀田真由(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】俳優の堀田真由(24)が10日にスタートしたNHKのドラマ「大奥」(火曜後10・00)で、江戸幕府3代将軍・徳川家光を演じる。よしながふみさんの人気漫画が原作で、男性と女性が逆転した大奥の物語。インタビューに応じた堀田は「こんな挑戦的な役を託していただいたことがうれしく、しっかりプレッシャーも感じながら収録に臨んでいます」と胸中を明かした。

 演じる役は赤面疱瘡(あかづらほうそう)で亡くなった本来の家光の落胤(らくいん)・千恵。家光の死を偽装するために3代将軍・家光として据えられる。ゆがんだ生い立ちから、心を閉ざし、暴力的な一面もあるが、公家出身の万里小路有功(福士蒼汰)と出会い、その深い愛によって成長していく。

 「このドラマのお話をいただいた時、原作の漫画を読んで、男女逆転という発想が面白いと思いました。収録現場には台本と漫画を持って入っています。ドラマなので全てが原作通りというわけにはいかないけれど、そのシーンが漫画ではどのように描かれているか確認しています。よしながふみさんに現場でお会いする機会があって『難しい役だよね。でも、楽しくない?』と聞かれたので『楽しいです』と答えました。小姓から女将軍まで、いろんな表情をお見せできたらと思っています」

 とは言え、難度の高い役柄であることは間違いない。

 「家光は突発的に怒ったり、感情のメーターが一気に0から100まで動きます。これまでの私は役を引きずらないタイプでしたけど、今回は引きずっていないと、現場ですぐに0から100まで一気に感情を持っていくのが難しいので、日常生活でも食事が喉を通りにくくなるほど引きずっています。でも、今は本当に自分が家光に近づけていること、そこに存在できていることを感じます。私の体調に影響するくらい、この物語の家光にはつらさや苦しさがあります。これまでの私は泣くシーンがある前日は憂鬱な気分になっていたんですけど、今回は泣こうとしなくても自然に涙が出ます」

 2015年の俳優デビューから約8年。20年の連続テレビ小説「エール」で主人公の初恋の相手となる踊り子を演じて注目され、昨年は大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で北条義時の正室・比奈を演じて話題を呼んだ。

 「芸能生活8年で、演じる役柄が徐々に変わってきました。以前は学生の役が多かったけれど、今は社会人や主人公の妻を演じられて楽しいです。やはり、朝ドラと大河は役者として一度は通りたい道だったので、昨年、三谷幸喜さんの脚本、『獄門島』『エール』でお世話になった吉田照幸さんの演出の大河に出させていただいて、自分自身の転機になりました。『大奥』の現場には大河チームのスタッフさんが多くて、たまに間違われて『比奈さん』と呼ばれることもありますけど、それだけみなさんの印象に残る役だったと思うと、うれしいです」

 昨年のNHK正月時代劇「幕末相棒伝」でのヒロイン役も含め、時代劇での活躍が目立つ。

 「みなさんから『時代劇が似合う』と言っていただくことが多いです。私自身も現代劇より時代劇の方が好きかもしれません。時代劇は奥が深くて、身分によって所作が変わったり、時代によって言葉遣いが変わったり、演じる役によって学びがあります。ひとつの現場が終わって、次の現場に行くと、経験を生かせる部分もあります。例えば『鎌倉殿』で、掛を着た経験が、『大奥』で生きて、掛を回すシーンで自然に演じられました。『鎌倉殿』では男性の方々とのシーンが多くて、みなさんの所作を見ていたので、それも参考になりました」

 「大奥」での見どころは多いが、本人がその一つとして挙げるのは小姓時代の姿だ。

 「袴をはいて、刀を差して、あぐらをかいたり、片膝を立てたりします。なかなか経験できないことなので、演じていて楽しいですし、手応えがあります。出演が発表された時に『あの上品な比奈さんが勝ち気で活発な役をどのように演じるのか楽しみ』という声があったので、ぜひ、みなさんに小姓の姿を見ていただきたいし、女将軍の姿との振り幅が大きいので『堀田真由はいろんなことができる』と感じていただけると思います。自分としては間違いなくこのドラマが代表作になると思っていますので、みなさんにもそう思っていただけるようになるとうれしいです」

 17日放送の第2話から登場。食事が喉を通りにくくなるほどの苦労をしている分、実りの多い作品になるに違いない。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2023年1月17日のニュース