紅白歌合戦の視聴率大惨敗は歌手配置に要因か 2つの大きなキーポイント機能せず

[ 2022年1月7日 08:00 ]

第72回NHK紅白歌合戦 紅組の優勝が決まる(撮影・河野 光希)
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 昨年大みそかの「第72回NHK紅白歌合戦」(後7・30~11・45)の視聴率が、瞬間最高でも史上初めて一度も40%台に届かない(関東地区、ビデオリサーチ調べ)という結果に終わった。

 これほど数字を下げたのはなぜか。民放の音楽番組関係者は「2つの大きなキーポイントが、その前後の歌手の配置によって、想定ほど機能しなかったことが大きな要因でしょう」と話す。

 2つのキーポイントとは(1)前半で若い視聴者をつかむ(2)若者の圧倒的支持を誇る藤井風とYOASOBIを続けて出すことで数字を上げる――こと。(1)については若者に人気の歌手やジャニーズ事務所のグループ5組を投入するなどしたが、視聴率は午後7時42分の審査員紹介の時間帯が最高。その後、挽回することができなかった。

 音楽番組関係者は「審査員紹介のあと、NiziUと山内惠介、櫻坂46と3組連続でメイン会場以外からの単独出演となり、他の音楽番組と差別化できなかった。ここで互いにコラボしたり、紅白ならではの特別感がつくれなかったというのが大きい」と指摘。また、若者を狙うなら、この時間帯にもっと若者向けの歌手や演出を配置すべきだったとの見方も示した。

 象徴的な存在として挙げた歌手は平井大(30)だ。平井は後半に配置され視聴率が伸びなかったが、元々はTikTokのフォロワー数が30万人超という、若者の絶大な支持を背景に初めて選ばれたアーティスト。それだけに「審査員紹介の直後に配置して、同じ若者支持の高いまふまふやAwesome City Clubなどと絡ませるなどできていれば、結果は変わったのではないか」(同関係者)と疑問符をつけた。

 (2)についても、紅白スタッフが「期待していたほどの伸び率がなかった」と話す。これについて同幹部は「歌手に問題はない。問題があるとすれば投入した時間帯だ」と話す。

 藤井風は午後10時11分、YOASOBIは同17分に登場した。これは、テレビ東京「年忘れにっぽんの歌」の放送が終わった午後10時の直後。「紅白復帰した細川たかしを午後10時1分に、直後に坂本冬美を配置して、演歌を聴きたい人の取り込みを図っているのは分かるし、実際数字も上がっている。しかしもう少し演歌勢を集中的に配置すべきだったのでは」(同幹部)。

 坂本冬美の歌唱後に34・8%だった視聴率は、YOASOBIの歌唱後で35・4%と微増にとどまった。「トータルで視聴者は増えたものの、『年忘れにっぽんの歌』から流入した視聴者が少なからず再び離脱したと推測されます」と民放の音楽番組関係者は話し「藤井とYOASOBIの配置をもっと遅い時間に変えれば、劇的に効果を発揮した可能性は高いのでは」と指摘している。

 全編を見た視聴者からは「面白かった」など肯定的な声が多く、番組自体は上質なものだったし、ジェンダーフリーが進む今の時代に合わせて、アップデートした演出も練り上げられたものだった。それだけに、レコード会社関係者は「アーティストの配置ひとつでさらなる化学反応が起きる可能性だってあったと思う。質の良いつくりだっただけに、史上最低の視聴率というのは残念な結果」と話している。  

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