「笑う洋楽展」年末特番 友人宅でビデオを見ている感じ

[ 2021年12月24日 08:00 ]

NHK・BSプレミアム「笑う洋楽展 コロナに負けないで『年末スペシャル』」に出演した、みうらじゅん氏と安齋肇氏                   
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 【牧 元一の孤人焦点】時には何も難しいことを考えずにテレビを見るのもいい。お酒を飲める人は飲みながらだとなおさらいい。NHK・BSプレミアム「笑う洋楽展 コロナに負けないで『年末スペシャル』」(28日後11・15)はそんな番組だ。

 イラストレーターのみうらじゅん氏(63)と安齋肇氏(68)が、洋楽ビデオを見ながらひたすらダベる「笑う洋楽展」の特番。有名アーティストのビデオを男女関係なく紅組と白組に分けて、2人がビデオの内容をネタに語り続けながら、最後に独断で勝敗を決める「紅白ビデオ合戦」の4回目(前回から5年ぶり)。

 コロナ感染予防のため、2人はそれぞれ透明ケースの中。まるで、ろう人形の展示物を二つ置いたかのようなセットで収録が行われた。

 今回の「出場」は、ビリー・ジョエル、ライオネル・リッチー、ABBAら。ビリーの「ロックンロールが最高さ」では、みうら氏が曲名そのものにひとしきりケチをつけたかと思えば、曲が流れ始めると、安齋氏が「思うほどロックじゃない」と切り捨てるなど、言いたい放題。ABBAの「ハッピー・ニュー・イヤー」に至っては、最初に、散らかった邸内の映像が流れると、後片付けやゴミの捨て方など、音楽とは無関係の話題に終始した。

 収録後、2人に話を聞く機会があった。

 ──奇抜なセットですね?
 みうら氏 ろう人形になった気持ちですね。生前から、ろう人形になることは、なかなかないですから。

 安齋氏 一度入ってみてくださいよ。気持ちいいです。透けているから、怖くない感じ。遮断されている感じが気持ちいいですよ。

 ──この番組の最大の魅力は何ですか?
 みうら氏 僕たちのルックスだと思います。この番組のために、この状態で居続けているんです。番組がもう終わるなら、終わると言ってほしいんですよ。ヒゲを剃りますから。

 安齋氏 参加できる楽しさじゃないですか。昔、友だちの家でビデオを見ていた時の感覚がよみがえります。タイムスリップした感じがあります。

 ──ABBAのビデオの時はゴミの話をしていましたね?
 みうら氏 昔、友だちとビデオを見ながら全く違う話をしていたじゃないですか。音楽のビデオだからと言って、音楽の話をしなくちゃいけないということが逆に不思議。安齋さんと2人で見ている感じがいいんです。

 ──2人の番組はやりやすいですか?
 みうら氏 この番組のために、30年以上前から安齋さんと友だちだったみたいなものですから。

 安齋氏 本当にそういうことですよね。

 みうら氏 一つだけ悔しいのは、いくら話しても切られていることです。きょうは、切られないようにビデオにかぶるようにしてしゃべりました。

 安齋氏 ただ、向こう(NHK側)もプロなんで、そこを切ってくると思います。

 番組は75分間。収録時間は、もちろん、それよりはるかに長かった。2人の弾みまくるおしゃべり。それをどう面白くまとめるか。編集勝負の番組とも言える。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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2021年12月24日のニュース