日本皮膚科学会 日本テレビに抗議文 ステロイド外用薬について「科学的に明らかに根拠のない内容」

[ 2021年9月14日 14:09 ]

日本テレビ社屋
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 日本皮膚科学会は14日、公式サイトで日本テレビに抗議文を出したことを明らかにした。

 抗議したのは9月7日放送の日本テレビ「ザ!世界仰天ニュース」で取り上げられた「ひどい肌荒れがまさかの方法で回復」の放送内容。

 サイトによると「そのなかには、『ステロイドは本来体内で作られるが、ステロイド薬の使い過ぎにより体内でステロイドが作られなくなった。』(23:53)や、『再び体内で作られるようにするには、ステロイド薬を断つしかない』(24:09)といった、科学的に明らかに根拠のない内容もあり、患者さんへの悪影響が懸念されます。日本皮膚科学会、日本アレルギー学会、日本臨床皮膚科医会、日本皮膚免疫アレルギー学会、日本小児アレルギー学会、日本小児皮膚科学会、日本アレルギー友の会(患者会)は以下に当番組の問題点を指摘します」とした上で、4点について指摘した。

 1.ステロイド外用薬の使用を、種類も使用法も区別すること無く否定し、ステロイド外用薬を用いた治療中の患者さんに恐怖と不安をあおる内容であったこと。

 2.脱ステロイド「療法」という用語を用いることで、ステロイド外用薬を使わないことをひとつの治療法として、あたかも疾患が治るかのごとき期待を抱かせる内容であったこと。
 
 3.ステロイド外用薬を使うことの危険性を把握し、「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」に沿って診療を行っている医師と患者さんに不必要な不安と妨害を与えるものであったこと。
 
 4.番組を視聴した結果、多くの健康被害をもたらす可能性が高いこと。

 「1990年代に始まったステロイド外用薬に関する誤解や誤った報道により、『脱ステロイド』と呼ばれる不適切な治療が横行し、多くの患者さんが不利益を被った歴史があります。日本皮膚科学会では『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』を策定し、標準治療の普及に努めて参りました。その結果、ステロイド外用薬に関する誤解や誤った報道が減ってきましたが、今回またこのような番組が放送され、医療の混乱を来すことは、看過することができません」とした。

 「マスメディアは科学的根拠に裏打ちされた情報を基に、患者さんの利益になる番組を制作することが使命であると考えます。そのため、当番組を制作・放映したことに対して、日本皮膚科学会、日本アレルギー学会、日本臨床皮膚科医会、日本皮膚免疫アレルギー学会、日本小児アレルギー学会、日本小児皮膚科学会、日本アレルギー友の会から連名で日本テレビに対して厳重に抗議しました」と記載した。

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2021年9月14日のニュース