藤井聡太七段、棋王戦初戦突破 “苦労人”今泉四段を破る

[ 2020年1月31日 20:53 ]

阪市の関西将棋会館で指された棋王戦予選2回戦で今泉健司四段(左)に勝った藤井聡太七段
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 将棋の最年少棋士・藤井聡太七段(17)が31日、大阪市の関西将棋会館で指された棋王戦の初戦となる予選2回戦で、今泉健司四段(46)に173手で勝利した。

 段位やこれまでの実績では上回っていても、プロ入りまでの道のりが好対照な今泉との過去の対戦成績は1勝1敗の五分。3度目の対決となったこの日、形勢が激しく行き来する長手数の激戦となったが、最後は若き天才に軍配が上がった。

 弱冠14歳で四段に昇段し、加藤一二三・九段、羽生善治九段、谷川浩司九段、渡辺明3冠(王将、棋王、棋聖)と並んで、長い歴史の中でも過去5人しかいない中学生プロ棋士となった藤井。さらに、史上最多の29連勝をいきなり記録し、実質プロ3年目ですでに朝日杯将棋オープン戦を連覇するなど、次代のエース候補として棋界の“エリート”街道をばく進している。

 一方、プロ養成機関・奨励会で年齢制限までに四段になれず退会。一度は普通の社会人生活を送ったが、プロ入りを諦めず、アマとして好成績を残してプロ編入試験受験資格を獲得。そこで合格し、ようやくプロになった“苦労人”が今泉だ。

 一昨年のNHK杯本戦1回戦では今泉が勝利。「史上最年長で棋士になった今泉が、史上最年少で棋士になった藤井聡太を撃破」として話題を呼び、NHKで特番が組まれたのも記憶に新しい。

 この日も「相手の時間を考えて」(今泉)と、先に持ち時間をほぼ使いきった藤井に考える隙を与えない、年の功を生かしたような作戦を展開。中盤から終盤にかけて、自らの持ち時間が1時間以上余っている状況でも早めに指し続けた。ただ、そんな攻めも結果に繋がらず、終局後は「最善手を指せないのは力負け」と完敗だったと認めていた。

 一方、「かなり苦しい局面もあった」としながら最後で貫禄を示した藤井。前期は予選決勝で敗れて挑戦者決定トーナメント進出を逃しており、「今期はまずはそこを目指して戦って行ければ」と抱負を語った。

 これで記録部門4冠では、勝数で40勝(未放映のテレビ対局を除く)となり、1位・佐々木大地五段(24)に並んだ。また、すでに1位に立っていた勝率も8割(40勝10敗)の大台に乗せ、2冠で首位に立った。

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2020年1月31日のニュース