【ドラマ座談会】タランティーノの世界「カルテット」、タラレバ娘に伝えたい「一生独身怖くない」

[ 2017年1月29日 09:00 ]

<ドラマ座談会>(上段)「カルテット」の松たか子(左)と満島ひかり(下段左から)「東京タラレバ娘」の吉高由里子、「突然ですが、明日結婚します」の西内まりや、「視覚探偵 日暮旅人」の松坂桃李
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 1月スタートの冬ドラマがほぼ出そろった。今期もバラエティーに富んだラインアップに。スポニチアネックス記者が初回を観て感想を語り合う「ドラマ座談会」。今回は4本をピックアップ。

 ――人気コミックが原作の「東京タラレバ娘」(日本テレビ系)。恋に仕事に奮闘するアラサー女性の生態がコミカルに描かれている。

 S記者 漫画が原作だけあってテンポがいい。「バッターボックスに立たなければ始まらない」など、主演・吉高由里子の独白は男性にも突き刺さる。3人が打席に立ち続ける姿を中心に見たい。

 K記者 3人娘のタラレバトーク。真面目に見ているとちょっとイラっとする。そこは坂口健太郎演じる毒舌金髪モデルがぴしゃりと言ってくれるので、なんか安心。

 Y記者 その金髪モデルが放つドSコメントは現実世界の男性の本音。「30過ぎたら女子じゃないだろ」。おっさんが「男子」って言っていたら痛いのと同じ。

 N記者 主人公が怖がる「一生独身、一人東京オリンピック」。ほぼ当確の身としては「全然怖くないよ〜」と言ってやりたいが。原作の東村アキコ氏のシュールな世界観が実写でもにじみ出ていて、個人的には好きな作品。

 R記者 3人娘が魅力的に見えるので、いまひとつ彼女たちの悲壮感が伝わらなかった。ただ、華やかな大都市東京とエンディングのPerfumeの楽曲がマッチしていて全体的なドラマの雰囲気は素敵だった。

 ――「カルテット」(TBS系)は冬の軽井沢が舞台。4人の30代男女によるラブサスペンス。コメディーの要素も。

 K 「逃げ恥」の後枠と考えると路線が違うし、どうかなとも思ったけど、さすが坂元裕二氏の脚本という感じで期待通り。キャッチフレーズの「全員片思い、全員嘘つき」も気になるところ。

 Y 4人の詳しいキャラクター紹介がないまま進んでいったので冒頭は違和感があったけど、ストーリーは面白そう。実力派4人はさすがの演技力で、引き込まれる。

 R ほとんどが会話劇で、ドラマというよりタランティーノ作品を邦画化したような印象。メーン4人の演技力と脚本がすごく、言葉選びやしゃべり方だけで人物像が伝わってきた。登場人物の闇が深そうで今後の展開が楽しみ。

 N 空揚げレモン、壁に画びょう…。4人によるシュールな長ゼリフの応酬はまさに四重奏。伏線の嵐で、一つ一つ回収していくうちに「逃げ恥ロス」も消えていくのかな。

――「視覚探偵 日暮旅人」(日本テレビ系)はどうだった?

 S 五感のうち視覚だけを頼りに調査する探し物探偵という設定は興味深かった。旅人がソファーで寝ているシーン。原作ファンからは”人前で無防備に寝ない設定”なのに…と違和感を覚える反応もあったが、いつもファンをあっと言わせる堤幸彦氏ならではの考えがあってのことかも。どのようにストーリーと絡まっていくのか注目したい。

 R 診療所や暴力団事務所でシリアスな空気とふざけたノリが混在したり、堤作品ならではの小ネタ満載で楽しみながら見ることができた。迷コンビの魅力が堤作品の真骨頂だが、今回は主人公が寡黙で穏やかなキャラなので、コンビの濱田岳が少し空回り気味に感じることも。

 Y 五感のうち4つの感覚を失い「視覚」だけ突出した主人公の世界観を独特な手法で巧みに表現。もう少しテンポよく展開してもいいかなと思ったけどストーリーには満足。「SPEC」みたいに盛り上がれば。

 D記者 堤氏のクセの強い演出の中、同じく濱田岳、シシド・カフカのクセの強い演技が光っているように感じる。

 ――最後は「突然ですが、明日結婚します」(フジテレビ系)。結婚への価値観が真逆の男女を描く月9王道のラブストーリー。

 R 90〜00年代初頭の典型的なラブストーリーを現代風に復刻した雰囲気。月9の原点回帰的なストレートな恋愛劇だ。個人的には恋愛模様のワクワクよりも、主人公の先輩男性が送る悠々自適な暮らしを、うらやましく感じながら観ている。

 N 元カレの家から引き揚げた荷物が多すぎて袋が破け、荷物が散乱→雨が降ってくる→男性が傘を差し出す…。「これぞ王道」という流れこそ月9の真骨頂なのだし、ベタな感じも嫌いじゃない。今作は結婚だが、価値観の違う人間同士がどう歩み寄っていくのか、その過程にも注目したい。

 K シンプルなラブストーリーという印象。沢村一樹、杉本哲太など脇を固める役者陣も豪華。ただ、主演の西内まりやが28歳には見えず、いくら願望が強くても結婚を焦る年齢とは思えなくて。

 D 「flumpool」山村隆太の俳優デビュー作としても話題だけど、初挑戦とは思えないほどクールに演じていたと思う。その山村演じる人気アナウンサーがゲス不倫で海外に左遷させられていたという過去は気になりますね。

【座談会参加者】S記者=40代男性、N記者=40代女性、K記者=40代女性、Y記者=30代男性、D記者=20代男性、R記者=20代男性。

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2017年1月29日のニュース