桂小春団治 “笑い”を平和につなげたい…3度目NY公演へ

[ 2016年2月17日 15:24 ]

3度目のニューヨーク公演に臨む桂小春団治

 落語家の桂小春団治(58)がニューヨーク公演を前に17日、大阪市内で記者会見を行った。2007年のブロードウェー、10年の国連本部、カーネギーホールに次いで今回が3度目のニューヨーク。19日に米国人向けの公演を「日本クラブローズルーム」で、20日に邦人向け2回公演をニューヨークのミッドタウンにある「フローレンス・グールド・ホール」で行う。

 小春団治は今年1月に85歳で亡くなった3代目・桂春団治の5番弟子。00年にロンドンで初の海外公演を実施し、欧米、アジアの19カ国を巡って上方落語の普及と国際交流に力を入れている。国際落語協会理事長も務めている。今回は初日(19日)の公演に“9・11”テロの遺族を招待。テロの際の消防隊隊長の遺族も駆けつける予定だ。

 「テロと報復の連鎖ばかりの世の中。紛争を止めるだけの力は落語にはないけど、落語で笑ってる間は平和な時間。そんな時間を作れれば。ひと時だけでも憎しみや悲しみは忘れられます」

 落語での“笑い”を平和につなげたいという思いが強い。米国人向け公演では師匠・春団治の十八番でもある「お玉牛」「皿屋敷」を英語の字幕落語で届ける。「お玉牛」は“夜這い”の話。「皿屋敷」は“復讐”の話。「遺族の前で果たしていいのか、向いてる話なのかとも考えたが。お玉牛は、最後は男がやり込められる滑稽な物語。皿屋敷も幽霊と人間がフレンドリーになっていく流れ。(2題とも)平和のメッセージという意味を持った話」でこの2題を選んだ。

 この2題とも小春団治が日本語で演じ、英語での字幕を表示。現在商標登録を申請している字幕落語で笑いを届ける。例えば英語で落語を演じると、ネイティブにはどうしても片言程度に聞こえ、同時通訳では正確に表現が伝わらないことから字幕のスタイルをとる。「従来通りの大阪弁の抑揚、リズム感で上方落語を知っていただく。表情などでイメージを伝えれば、笑いが返ってくるんです」。1人の演者が複数の登場人物を演じる世界に類を見ないコメディスタイルの“RAKUGO”。上方落語が国際交流にひと役買う。

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2016年2月17日のニュース