「火垂るの墓」病棟解体へ 西宮回生病院の見学会に750人以上

[ 2015年7月4日 17:30 ]

 神戸大空襲を題材とした小説「火垂るの墓」(野坂昭如作)に登場する兵庫県西宮市の西宮回生病院の正面玄関や診察棟が老朽化で取り壊されることになり、4日に見学会が開催された。7月中旬から工事が始まる予定。

 病院は1907年創立、37年に旧病棟が建設された。緩やかな弧を描いた構造の玄関が特徴。「火垂るの墓」のアニメ映画では母を亡くした主人公の清太と妹の節子が、無事を喜び合う見知らぬ母子の再会をうらやましそうに眺めるシーンで登場する。

 見学会では過去の写真や年表などが展示され、750人以上が訪れた。

 看護学生時代に同病院で働いていたという同県尼崎市の看護師山本佐知子さん(46)は「20年ぶりぐらいに来たが、こんなに古くなっていたなんて。すごく寂しいです」と当時の同僚とアルバムを広げ、青春時代を振り返った。

 神戸市で建築模型工房を営む寺本雅男さん(70)は「お気に入りの散歩コースだった。遊び心のあるデザインで人が見て温かいと思える建物だった」と話し、目に焼き付けた。

 井上馨院長(58)は「大勢来てくださって大変うれしい。新しい病院になっても心のつきあいを大切に地域に貢献していきたい」と力を込めた。

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2015年7月4日のニュース