ソフトB王会長「どんどん山川君に質問をしたらいい」 若鷹よ、長距離砲から考えや心理を学べ

[ 2024年2月12日 06:00 ]

ソフトバンク・リチャード(左)に助言する王会長(撮影・成瀬 徹) 
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 若鷹よ、山川を質問攻めにしろ――。ソフトバンクの王貞治球団会長(83)が春季キャンプ前半の視察を終えた11日、若手野手陣に対して注文を付けた。圧倒的な飛距離でキャンプ地を盛り上げている新加入の山川穂高内野手(32)に対して“聞き魔”になることを奨励。打撃の考え方、打者心理など深い部分まで聞き、自分のものにしてほしいと熱望した。

 新加入した右の和製大砲は期待通りの動きを見せてくれた。この日で宮崎を離れる王会長がキャンプ地を去る際、山川は屋内練習場でリチャードにつきっきりで打ち込みを続けていた。リチャードは山川から右足の使い方の助言を受けて振り込んだ。ただ、王会長が望んでいるのは、その逆だ。若手の方がホームラン王3度の長距離砲を質問攻めにすることを願った。

 「どんどん自分から山川君に質問をしたらいいんだよ。本塁打をつくれる選手の技術の形、外側じゃなく、思いや考え、心理を聞くことが大事なんだ」

 王会長がプロ通算868本塁打を記録した現役当時、先輩から教えてもらうことは恐れ多く、ためらわれることだった。だが、時代は流れている。「われわれの頃は“見て覚えろ”の時代。今は聞きに行けば教えてくれるんだから」。通算218本塁打の山川は生きた教科書。宮崎では連日のようにアーリーワーク、居残り特打に取り組んでいる。「朝から晩までバットを振ってるよね。納得するものをつかまえたいと思っているんだから、その“なぜ”を聞いて受け止めるのが大事なんだ」と力説した。

 10日の練習では、期待の大砲候補・井上が居残り特打中に山川を直撃し、「打つ瞬間の右手の押し込み方を聞きました。勉強になった」と話した。王会長はもっと深い部分まで吸収することを望んでいる。打撃に対する考え方、打席で結果を出すために不可欠な打者心理も探ってほしいと期待し、「何度も前向きに距離を詰めていくように聞いていってほしいね」と話した。

 王会長の思いを伝え聞いた山川は「ウエルカムなんですが、ライバルでもありますし、そもそも僕が質問魔ですから。先輩にも聞いてきた。僕がうまくなるために、話を振りますけどね」と笑顔で話した。

 日本を代表するホームラン打者と若鷹の積極交流。王会長は必ずチーム全体の打力アップにつながると信じている。 (井上 満夫)

 <今春キャンプの山川効果>
 ☆井上 高校通算50発を放ち20年ドラフト1位で入団した4年目の内野手。昨季はシーズン終盤に1軍初昇格を果たし、プロ初アーチも放つ。10日の練習ではランチ特打や居残り特打を山川と一緒に行い「今日はタイミングの取り方を主に見させてもらいました。一定ですし勉強になります」。

 ☆川村 主力中心のA組に抜てきされた大卒育成3年目の外野手。山川に「タイミングの取り方はどうしていますか?」と積極的に質問する。8日のフリー打撃では投手を務めた大津から右中間二塁打を放つ。

 ☆柳田 鷹の主砲も本塁打王3度のアーチストに最敬礼。山川が3日のフリー打撃で46スイングし4連発を含む13本の柵越えを放ち「半端じゃない」と驚き。「回転のかけ方とか、凄いと思う。一緒になって、いい打者を目指していきたい」

 ☆近藤 昨季2冠のバットマンも山川の打撃技術に興味。「これまでも話す機会もあったが、より深いところまで話が聞ける。そういうことは大事にしたい。タイプは違うが、学ぶ部分が多い選手。チーム内でいい競争ができたらと思う」

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