辻発彦氏 ソフトB山川が本塁打王の大本命 フルに働けば50本も夢ではない

[ 2024年2月9日 06:00 ]

打撃練習するソフトバンク・山川(撮影・成瀬 徹) 
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 本紙評論家の辻発彦氏(65)が8日、ソフトバンクの宮崎キャンプを訪問し、西武から移籍した山川穂高内野手(32)の動きを追った。昨季は女性問題で1年をほぼ棒に振り、新天地でゼロからの出直しを期す大砲は、西武監督時に主砲へと育て上げた愛弟子の一人。絞れた体と動きの切れ、新たな本拠地との相性の良さを指摘し、今季の本塁打王の最右翼だと推した。

 【辻発彦 CHECK】バックネット裏のブースに入ると山川の元気な姿が目に飛び込んできた。内野ノックの動きがいい。自主トレで追い込んできたのか体も絞れている。ランチ特打では柔らかいスイングで軽々とフェンス越え。山川に送られるホークスファンの温かい拍手がうれしかったし、ホッとした。

 山川の特打を見ながら王貞治球団会長とお話をさせていただいたが「チーム状況からずっと右の強打者がどうしても欲しかった。山川とFAで縁ができて良かったと思っている」と球団としての期待の高さを感じた。小久保監督も「柳田と近藤、中村(晃)と山川の4人には何も要求はしないし、サインは出さないという話はしている。調整は任せています」と信頼を寄せている。山川も「ギータさん(柳田)、近ちゃん(近藤)、甲斐…。日本代表で一緒にやったメンバーが声をかけてくれて、すんなり入れました」と感謝していた。チーム全体で山川が野球に集中できる環境を整えてくれている。

 ランチ特打に加えて午後には2度の特打。メイン球場で最後までバットを振ったが、まだ力の入れ方は50%程度。それでも奇麗な放物線で飛距離は出る。昨季、パの本塁打王は近藤、浅村、ポランコの26本。今季は山川が本塁打王の大本命だろう。同じリーグで相手投手は変わらないし、何よりペイペイドームにはホームランテラスがある。ペイペイなら強振しなくても右中間にも楽々と運べる。心の余裕、無駄な力みもなくなる。その話を振ると山川も「千葉は風が吹いていてしっかり打たないと届かないし、春先のベルーナドームは寒さもあって打球が飛ばない。ペイペイは大好き。力まなくても運べるイメージはあります」。1年間実戦を離れたことに不安はあると思うが、フルに働けば50本も夢ではない。

 心配なのはオーバーワークでの下半身の故障だ。21、22年と続けて、開幕直後の札幌ドームで太腿裏を痛めて離脱した。山川自身「それは分かっています。気をつけます」と言っているが、より慎重な調整を心がけてほしい。山川にとっては大変な一年になるだろうが見守っていきたい。 (本紙評論家)

 《球場別2位 本塁打率は10.45》山川のペイペイドームでの通算本塁打は20本。球場別ではベルーナドーム105本、楽天モバイル25本に次ぎ3番目に多い。本塁打の1本あたりに要した打数を示す本塁打率(打数÷本塁打)は10.45で、楽天モバイル9.12に次ぐ数字。昨年までの本拠ベルーナドームの11.95を上回っており、量産が期待できそうだ。

 《トータル54発で第2クール締め》山川は約1時間半の居残り特打で第2クールを締めくくった。全体練習後に左の打撃投手に加えてカーブマシンを相手に打ち込んだ。「ロングティーと緩いカーブを自分の形で打つことが、本塁打を打つ体の使い方としては一番いい練習だと思っている。良かったと思います」と晴れやかな表情を浮かべた。ランチ特打と合わせてトータル54発の柵越えを放った。

 この日、特打を最後まで見守った辻氏とのやり取りについては「一番、長くやってもらっていた。いい時も悪い時も分かると思うので、今の現状と下半身の使い方とかの話をしました」と説明した。

 前日には特守を行った。新天地の慣れない環境とあって、焦らずに少しずつ状態を上げていく青写真を描いている中で、練習の虫が徐々に本領を発揮している。

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