鈴木啓示氏 阪神・村上の10勝は坂本と島本のサポートあってこそ 助けを受け、勝利への意識はまた変わる

[ 2023年9月9日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神4-1広島 ( 2023年9月8日    甲子園 )

<神・広>8回、ピンチを無失点でしのぎ、村上(左)に出迎えられる島本(撮影・北條 貴史)
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 【鈴木啓示 視点】阪神・村上の10勝は坂本、そして島本のサポートがあってのものだった。立ち上がりは文句なしだった村上が6回にストライク、ボールがはっきりした。前の攻撃で三塁まで出塁したこと、3点リードで勝利を意識したことなどが加わり、ペースが乱れた。

 先頭の代打・田中に右前打され、秋山には2ボール。ここで坂本がタイムを取った。最高の間だった。気持ちを落ち着かせ、秋山を遊飛に仕留めると、野間の打席ではフルカウントから二盗を阻止して三振併殺。最高の送球を坂本が見せた。

 1点を失った8回1死二塁でリリーフした島本も見事だった。田中をフルカウントからのフォークで三振。秋山を一ゴロ。ここまで粘り強く戦ってきた広島の勢いを止めた。「当たり前のことを当たり前にする」という岡田監督の野球が浸透していると感じた。

 村上にとって、この1勝は大きい。10勝の壁を越えられなかった投手は数多い。2桁がかかり、2位との直接対決の先陣という状況でも甘いボールを決して投げない立ち上がりで入った。打者有利のカウントでもスピードや変化を微妙につけて、的を絞らせない投球は1年間の成長だった。先輩の助けを受けての10勝で、村上の勝利に対する意識は、また変わるはずだ。(本紙評論家)

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