矢野燿大氏　佐藤輝はいいスイングで打てている　打球の角度さえつけばスタンドインもイメージできる

セ・リーグ   阪神8―5巨人 （ 2023年7月26日    甲子園 ）

矢野燿大氏
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　【矢野燿大氏　視点】佐藤輝は、いいスイングで打てている。2回無死一塁から左腕グリフィンの初球、内角カットボールを右前打して先制点のお膳立てをした。7回1死一、二塁では代わったばかりの高梨の2球続いた内角真っすぐを同点の左前打。6回の右腕・船迫からの中飛も、いい打球だった。これら打った球は速球系の球で、いい感じで雰囲気が出てきた。

　2本の安打はいずれも左投手からのものだが、本人の中では左投手が特に苦手という意識はないはず。ただ、サイドから変則の投げ方の高梨は、左打者はかなり打ちづらい。その高梨の内角真っすぐを強い打球ではじき返せているのは、決して偶然ではない。打球に角度さえつけば、スタンドインもイメージできる。

　ベンチスタートの選手も、みんな打って、勝ったのが大きい。お立ち台に立ったのは、決勝犠飛の坂本と、途中出場から最初の打席で2点三塁打を放った小幡だった。6回に代打の原口が左前適時打して、ベンチが勝負をかけた場面で1点差に詰めたのも、流れ的には大きかった。

　投手では、桐敷が自分で出した四球からのピンチだったが、昇格即の登板でゼロで抑えた。加治屋が8回をわずか6球で3者凡退に抑えたのも、見逃せない。1人の投手が完封した、1人の打者のホームランで勝ったゲームもあるが、この日のように、ベンチにいるほとんどの選手が絡んでつかんだ1勝は、チーム全体の雰囲気もよくなるし、優勝するためには必要だ。いつも試合に出ている選手にプラスアルファの戦力が、どんどんと出てくることがチームに勢いをつける。（本紙評論家）