エンゼルス・大谷 自己最多9勝、ルースに並ぶまであと1 後半戦で104年ぶり「2桁勝利&本塁打」挑戦

[ 2022年7月15日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス7ー1アストロズ ( 2022年7月13日    アナハイム )

<エンゼルス・アストロズ>6回、マティエビッチを見逃し三振に仕留めて12個目の三振を奪った大谷はガッツポーズで吠える(撮影・篠原 岳夫)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(28)が13日(日本時間14日)、アストロズ戦に「1番・投手兼DH」で出場し、6回4安打1失点で昨季の自己最多に並ぶ9勝目を挙げた。12三振を奪い、95年の野茂英雄(ドジャース)に並ぶ日本選手最長の4試合連続2桁奪三振もマーク。打者では既に19本塁打を放っており、1918年のベーブ・ルース(レッドソックス)以来104年ぶりとなる「2桁勝利&2桁本塁打」の偉業に、あと1勝とした。 

 今から6年前の16年2月。大谷は、パドレスのアドバイザーとして日本ハムのアリゾナキャンプを訪れた野茂氏と初対面し、こう話した。「歴史に残る投手。日本に野茂さんがいなかったら(誰もメジャーで活躍できなかった)という部分もある」。日本投手断トツの米通算123勝を誇る日本人大リーガーのパイオニアの空気感を肌で感じ取っていた。

 時を経て22年。19日(日本時間20日)のオールスター戦前最後の登板で、大谷は6回1失点で9勝目を挙げ「強みかな」と自負する三振を毎回の12個奪った。4試合連続2桁奪三振は日本勢ではその野茂氏が95年のデビュー年に記録して以来、2人目。球団でも77年のノーラン・ライアン以来、45年ぶり2人目で「凄く光栄なこと。もっともっと続けられるように頑張りたい」と表情を緩ませた。

 圧巻は最大18インチ(約46センチ)の曲がり幅を計測したスライダーだった。野茂氏の代名詞フォークでもなく、最速100・6マイル(約162キロ)を3度記録した剛球でもない曲がり球で地区首位のアストロズ打線を翻弄(ほんろう)した。全投球中の割合は49%(51球)で今季最多。奪った12三振中、7個がスライダーだ。6回2死一塁。最後の105球目もスライダーで見逃し三振を奪い、右拳を握り、吠えた。

 4回1死二塁からグリエルの右前適時打で失点したが、32回連続自責点ゼロは先発投手では13年の岩隈久志(マリナーズ)が記録した31回2/3を抜いて日本投手最長となった。6月9日のレッドソックス戦から自身メジャー初の6戦6勝。チームの5連敗中に「取り返したい」と奮い立ち、今季5度目の連敗ストッパーとなった。

 アマチュア時代から独特のトルネード投法を貫き、メジャーで2度のノーヒッターを達成した野茂氏は16年当時、大谷の二刀流について「誰にもマネできない、そんな選手になってほしい。本人がやりたいと思うことが一番。(メジャーでも)二刀流を見てみたい」と支持。その二刀流で今や米球界の顔となった大谷は、快投を重ねても「シンプルに毎回、毎回ゼロで抑えていくという、あまり先のことを考えずにそういう感じでいく」と泰然と語った。

 パイオニアからパイオニアへ継承されたのは、ぶれない思い。ルース以来104年ぶりの「2桁勝利&2桁本塁打」をかなえるチャンスを、後半戦最初のマウンドで迎える。(柳原 直之)

 《自己最長6戦6勝》大谷はメジャー自己最長を更新する6戦6勝で6連勝。勝敗がつかない試合を含めた連勝では昨季の8が最長。日本ハムでは16年に7戦7勝と9連勝をマークした。また、32イニング連続自責点0は、エンゼルスの先発投手では06年のジョン・ラッキーの30回2/3を、日本勢の先発投手では13年岩隈久志(マリナーズ)の31回2/3を上回る最長記録に。日本勢の救援投手では13年上原浩治(レッドソックス)が33回2/3、00年長谷川滋利(エンゼルス)が34回1/3を自責点0に抑えている。

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2022年7月15日のニュース