広島・末包 母の日感謝の満塁弾!球団新人30年ぶり「もちろん喜んでくれるので良かった」

[ 2022年5月9日 05:30 ]

セ・リーグ   広島17-3DeNA ( 2022年5月8日    マツダ )

<広・D>4回無死満塁、左中間に満塁本塁打を放った末包(右)はマクブルーム(左)らに迎えられる (撮影・奥 調)
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 広島・末包昇大外野手(25)が8日のDeNA戦で2号満塁弾を放った。球団新人の満塁本塁打は、1992年の町田公二郎以来30年ぶり。チームは計5発を含む今季最多21安打17得点の大勝を決め、順位は4月30日以来となる2位に浮上した。

 指導したい母親と認めてもらいたい息子。プロ野球選手になっても親子の関係性は変わらない。4月中旬、末包は母・尚子さんから言われた。「(巨人の)岡本(和)は、もっとじっくり待ってから打ってるのに…」。尚子さんは、高校時代にソフトボールでインターハイに出場経験のある実力者。初球を凡退した試合後とあって反論できなかった。ただし、息子も黙ってばかりではいられない。母の日に7試合ぶりの先発機会が巡ってきた。

 9―0と点差が広がって迎えた4回無死満塁。宮国が投じた初球のカーブには空振りした。母の助言も一理あるとはいえ、初球から振ってタイミングを合わせるのが信条だ。続く2球目、真ん中付近のシュートを完璧に捉えた。打球は一直線で左翼席上段へと飛んでいき、初めての満塁弾となった。

 「打った瞬間だった。前の打席でも満塁で、何とか犠飛を打てた。もう一度回ってきたので、楽な気持ちで入れたかなと思います」

 体重110キロの巨漢は、生まれたときから4500グラムと規格外だった。とにかく食べて、さらに大きくなった。小学校入学前からチャーハンは自分で炒めた。中学時代は晩ご飯を待てず、米3合を勝手に炊いて平らげたこともある。好物は「肉」。行きつけの焼き肉店に家族で入った瞬間に、店員から「ご飯ないで!」と恐れられるほどの大食漢だった。

 「よく食べて、よく寝て、よく遊ぶ子だった。男3人兄弟で全員たくさん食べていたので、たくさん料理をつくってもらいました」

 母からは「他人に迷惑をかけるな」と言われ続け、野球で落ち込む姿を見せると叱られた。現在は先発から遠ざかっても「周りを明るくできればいい」とベンチでムードメーカーを担う。母から授かった体格と教えが自らの武器となっている。

 「(母は)めちゃくちゃ(野球のことを)言ってくるタイプ。自分の中で整理しきれない部分もあったんですけど…。結果が出れば、もちろん喜んでくれるので良かった」。チームは、今季最多となる21安打17得点。その主役を奪って、敵も母親も認めざるを得ないほどの輝きを放った。(河合 洋介)

 ◇末包 昇大(すえかね・しょうた)1996年(平8)5月27日生まれ、香川県出身の25歳。高松商では甲子園出場なし。東洋大では3年春からリーグ戦出場。大阪ガスでは21年の日本選手権で打率.450を残し、21年度の社会人ベストナイン(外野手)に選出。21年ドラフト6位で広島に入団。1メートル88、110キロ。右投げ右打ち。

 《新人史上57人目の快挙》ドラフト6位ルーキーの末包(広)が2号満塁弾。新人の満塁本塁打は昨年の佐藤輝(神)に次ぎ史上57人、58本目。広島では92年7月26日大洋戦の町田以来30年ぶり2人目だ。なお、ドラフト制以降に打った29人のうち6位指名以下は12年川端(オ=8位)以来2人目で、セでは77年松本(巨)の5位を下回る最も低い順位となった。

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