【スポニチスカウト部(9)】専大・菊地吏玖 脱力投法から最速151キロ ケガの経験で下半身主導に

[ 2022年4月19日 05:30 ]

ドラフト1位指名を目標に掲げる専大・菊地
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 今秋のドラフト候補選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第9回は専大の菊地吏玖(りく)投手(21)。最速151キロの右腕で、ツーシームなどの変化球の精度も高い。今季は打者を圧倒し、目標のドラフト1位へ突き進む。

 下半身主導の力感のないフォームから、最速151キロの剛速球を投じる。専大・菊地は、高校時代から度重なる故障を経験し、そのフォームを追い求めるようになった。

 「しっかりお尻を使って投げることを意識している。(体が)横を向いている時間も長くなりますし、より力を入れずに強い球を投げることができる」

 高1で右肩痛、大学1年の時に右肘痛に悩まされた。その原因を「腕で頑張ってしまうというか、上体を使って投げようとしてしまっていた」と自己分析。ウエートトレーニングなどで下半身を鍛えることに加え、股関節などの柔軟にも力を入れる。入学時は硬かった体も、毎日2時間のストレッチの効果もあり、今では180度開脚して胸が地面に着くまでになった。「ストレッチを始めてからパフォーマンスも全然違う。体調は不安がないですね」と万全の状態をアピールする。

 リーグ戦初戦となった16日の立正大戦は、延長10回タイブレークでサヨナラ負けを喫したものの、9回までは無失点に抑えて1人で投げ切った。この冬に固めてきたフォームについても「無駄な力を入れずに球を離すべきタイミングで投げられた」と手応えも得た。

 投手として重視しているのは防御率。2部リーグ戦でデビューした2年秋、2学年上で当時4年だったロッテ・佐藤奨に「勝ちは運も左右してくるけど、防御率は投手の力量を測れる」と言われたことが大きかった。「なるほどなと。点数取られないことが仕事だと思う」と考え、2年秋は4試合で防御率0・31、3勝を挙げた。

 チームとしての目標はもちろん1部復帰で「2部の中で圧倒的な成績を収めないと1部でも通用しない」と菊地。その中で個人としては「ドラフト1位指名が目標」と高みを見据えている。(田中 健人)

 【菊地 吏玖(きくち・りく)】専大4年・投手。2000年6月13日生まれ。21歳。北海道出身。1メートル83、93キロ。右投げ左打ち。

 ☆球歴 拓勇小2年時に拓勇ファイターズで野球を始め、投手のほかに捕手も務める。青翔中時代はポニーリーグの苫小牧中央ベースボールクラブに所属。札幌大谷では1年春からベンチ入りし、2年秋からエースも甲子園出場なし。専大では2年秋の2部リーグ戦でデビュー。

 ☆球種 カーブ、スライダー、ツーシーム、フォーク。

 ☆音楽 今春センバツに「群青」が入場行進曲に採用された男女2人組ユニット「YOASOBI」の大ファン。「全部の曲が好き」というがお気に入りは「アンコール」。

 ≪最大の敵は東洋大 投手陣にも対抗心≫専大は1部リーグで歴代最多の32回の優勝を誇り、日米通算203勝の元広島・黒田博樹氏らを輩出した名門。だが、17年春からは2部での戦いが続く。1部復帰に向け、菊地は最大のライバルチームに東洋大を挙げ「いい投手が何人もいますし、1部を経験してきているチームなので東洋大学は強いと思う」と警戒する。最速156キロ右腕の羽田野ら投手陣の層は厚いが「投手は総合力だと思う。どう打ち取るのかが必要になってくるし、その点では負けてる気はしませんし、そこは自信を持って臨みたいと思います」と対抗心を燃やした。

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