【スポニチ潜入(2)近江・山田陽翔】阪神ドラ1級フィジカル誇る選抜準V右腕「心技体」兼備

[ 2022年4月19日 08:00 ]

近江・山田陽翔のピッチング
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 アマチュア野球の有力選手を紙面、公式サイト「スポニチアネックス」、YouTube「スポニチドラフトチャンネル」において取り上げる「スポニチ潜入」の第2回。今春選抜準優勝の原動力となった近江・山田陽翔投手(17)は「InBody(インボディ)」98点という近年の阪神ドラフト1位級のフィジカルを誇り、人間性にもすぐれた今秋ドラフト候補だ。 近江・山田選手の動画はこちら

 ふとした身のこなしからも、その身体能力の高さがうかがえる。1メートル75、77キロと決して大きくはない近江・山田の体には、大きな魅力が詰まっている。

 50メートル走5秒8、遠投100メートル、左右の握力65キロ、背筋力200キロ…加えて体の成分組織を測定する「インボディ」の点数は98点。しかも高校1年時に計測した数値というから驚きだ。現役プロ野球選手でも100点以上は珍しく、たとえば阪神では今年のドラフト1位・森木が昨年12月に101点、近大時代の佐藤輝が100点でチーム内トップクラスの数値という。山田の数値はその2人に肉薄しており、体の成分バランスで言えば近年の阪神ドラフト1位選手に匹敵する。理想的なフィジカルを誇っているわけだ。

 投打両面でプロから注目を浴びるが、本人は「投手の方が好きです」と言う。そんな最速148キロ右腕が追い求める投球は「1試合100球以内」だ。すべての打者をファーストストライクで打ち取ることを理想に掲げ、2年冬のオフ期間には真ん中低めへの制球力を磨いた。その投球スタイルの究極は「27球完投」。だからこそ本格派投手であるにもかかわらず、試合では打たせて取る投球を心がける。球数制限のある中でも、本気で全試合登板を目指している。

 もちろん、3年春時点で通算30本塁打以上を誇る「打」も精進を怠ることはない。本気で「投打二刀流」を追求すると、全体練習だけではまったく時間が足りない。そこで高校入学以来、欠かすことなく毎朝5時起床。約1時間半の早朝練習、居残り、自宅練習に励んで「打」の不足分を補う。自分で考え、行動できる自主性も山田の持ち味と言える。

 投手としてソフトバンク・千賀滉大の投球スタイルに憧れ、打者としては「気の強さがオーラで表れている」という巨人・中田翔にひかれる。昨夏の蓄積疲労から発症した右肘痛もすでに完治。昨秋までは「正しいと思って」あごを引くことを意識して投球していたが、今年に入ってから「あごを自然体にして背骨を意識した」体の使い方を覚えたことで投球フォームのバランス向上にも成功。球威アップにつなげた。その成果が表れたのが、京都国際の代替出場から勝ち上がった今春選抜の準優勝。決勝の大阪桐蔭戦こそ、準決勝の死球で負った左足首痛と疲労のために3回途中4失点降板も、準決勝まで4試合連続完投とフル回転し、躍進の原動力となった。

 エース、4番、主将の大黒柱。監督歴30年以上の多賀章仁監督が「周りに与える影響が素晴らしい。自分を客観視できて、誰からも慕われて、たとえるなら大谷翔平選手みたいな人間。“スポーツマン”の代名詞みたいな存在」と絶賛する人間性が最大の持ち味かもしれない。好きな言葉は「For You」――。「誰かのために野球をするということが一番、感謝、恩返しができると自分が思うので、その言葉が好きです」と笑う。「今年の目標に自分自身が挙げたのが日本一とドラフト上位指名」と山田。チームと個人の目標両立を目指す。(惟任 貴信)

 ◇山田 陽翔(やまだ・はると)2004年(平16)5月9日、滋賀県栗東市出身。治田西小1年から治田西スポーツ少年団で野球を始め、捕手。栗東西中では大津瀬田ボーイズで投手。1、3年時に世界大会出場。近江では1年夏の独自大会からベンチ入りし、同秋からエース。2年夏の甲子園大会4強、3年春の選抜準優勝。最速148キロ。50メートル走5秒8、遠投100メートル。1メートル75、77キロ。右投げ右打ち。

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