【スポニチ潜入(1)高松商・浅野翔吾】強打両打ち&全ポジション守れる…ロマンあふれる野球の申し子

[ 2022年4月5日 08:00 ]

規格外のパワーが持ち味の高松商・浅野
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 スポーツニッポン新聞社では、今年も企画「スポニチ潜入」で、アマチュア野球の有力選手を紙面、公式サイト「スポニチアネックス」、YouTube「スポニチドラフトチャンネル」において取り上げる。第1回は1メートル71、85キロの体に人並み外れたパワーと、あふれんばかりのロマンが詰まった高松商・浅野翔吾外野手(17)。

 本当に他の選手と同じバットと、ボールなのか――。浅野の打撃を見ると、そう疑わざるをえない。まず、バットがボールをとらえる音が違う。そして飛距離が違う。笑ってしまうほど格が違った。

 1メートル71、85キロ。野球選手では小柄な部類に入るが、グラウンドに立つと一回り大きく見える。握力は右64キロ、左62キロ、ベンチプレス115キロ、スクワット200キロ、デッドリフト200キロ…2年春時点のスイングスピードは146キロだ。規格外のパワーを誇る半面、「下半身の強さを意識している」という打撃フォームは柔らかい。小学6年時からボールの下にバットを入れてバックスピンを掛ける打撃を心がけており、その一身に、「剛柔」が共存する。それが、驚異的な飛距離につながっている。

 高松商のグラウンドは左翼93メートル。その上には高さ約20メートルのネットが、中堅までそびえ立つ。だが、浅野の打球はまるでピンポン球のようにネットを越え、2車線の道路を挟んだ先にある高松第一小・中学の校舎まで飛んで行き、時にその屋根を越えていく。ちなみに木製バットでも左中間方向にある公園内のブランコまで飛ばしたことがある。その推定飛距離は、なんと140メートル。もしかしたら、それ以上かもしれない。末恐ろしいばかりだ。

 2年秋からは本格的に左打席にも立ち、すでに同年オフまでの練習試合で3本塁打を放った。両打ちは体のバランスを整えることが主目的だが、利き手は右、利き足は左という特性も手伝い、いずれの打席でも人並み外れたパフォーマンスを発揮できるというロマンあふれる一面も持つ。

 しかも打つだけではない。走れば50メートル走5秒9。守備も軽快だ。本職は外野ながら、遊撃、二塁も器用にこなすなど全ポジションを守ることができる。さらに遠投110メートルと強肩も兼備。屋島中までは捕手で、座ったまま二塁に矢のような送球を投げたという。長尾健司監督は「投手をしても140キロは投げます。打球への勘がいいので、上のレベルでも外野だけでなく三塁、二塁は守れると思います」と証言する。

 家族の支援にも背中を押されながら、進化を続ける。父・幹司さんは徳島商の野球部出身。「調子が悪い時に一番、頼りになる存在です。修正する時に一番最初に聞くのがお父さん。自分で(修正)する時もありますが、それでも無理な時はお父さんに聞いて動画を見せて…。お父さんが今まで一番、近くで練習とか見てくれているので」。浅野にとって最大の理解者であるとともに、最高のコーチでもある。そして母・美枝さんは息子が足をつりにくくなるように塩を変えるなど、料理に使用する材料の細部にまでこだわる徹底ぶりで、体づくりを支えてくれる。両親の手厚い“内助”に、全力プレーで応える決意だ。

 故障予防と体の切れを出すために昨年8月時点で92キロだった体重を、3月時点で85キロまで絞った。食事量を減らすことなく、長距離走を増やし、筋肉を落とすことなく減量に成功した。これも上のレベルを目指す決意の表れだ。「(目標は)今年のドラフトで1位指名。チームとしては甲子園に出場したい」。その体に、無限大の可能性を秘める。(惟任 貴信)

 ◇浅野 翔吾(あさの・しょうご)2004年(平16)11月24日、香川県出身。屋島小3年から野球を始め、屋島中では軟式野球部に所属し3年時に全国大会8強。U―15日本代表に選出。高松商では1年夏の県独自大会から背番号19ながら3番・右翼手。2年夏に甲子園大会出場。50メートル走5秒9、遠投110メートル。1メートル71、85キロ。右投げ両打ち。

 ※高松商・浅野選手の動画は「スポニチドラフトチャンネル」において配信中です。

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