大谷翔平、3冠も夢じゃない!極端シフト禁止&ベース大型化 23年にもMLB新ルール

[ 2022年3月8日 05:30 ]

エンゼルスの大谷翔平
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 労使対立で開幕が延期した大リーグは6日(日本時間7日)、ニューヨークで選手会と機構(MLB)が約1時間半の交渉を行い、23年以降にベースのサイズ拡大、内野手のシフト制限、投球間隔制限を導入することでは合意した。複数の米メディアが報じた。極端な右寄りのシフトが敷かれ、俊足で内野安打も多いエンゼルス・大谷翔平投手(27)にとっては打率向上につながる可能性は大。3冠王も決して夢物語ではない。

 ニューヨークで行われた労使交渉。開幕問題などについての合意はされなかったが、かねてMLBが求めていた「新ルール」の導入を選手会が受け入れた。改正は早ければ来季からだが、二刀流で昨季のア・リーグMVPに輝いた大谷も恩恵を受けることになりそうだ。

 (1)極端な内野シフト禁止
 マイナーリーグや19年に提携する独立リーグで試験導入された二塁ベースを挟んで両側に内野手2人に制限した形が採用される見込み。近年のパワー偏重の野球に規制をかける狙いがある。左打ちの大谷は昨季の全打球の46・6%が右翼方向。昨季の46本塁打中、30本を右翼に運んだ。強く引っ張るスイングが本塁打量産の一因で4月12日のロイヤルズ戦でメジャー3位タイで自身最速の打球速度119マイル(約191キロ)で右翼線二塁打を放った際は「しっかり下半身で振らないとあの打球は打てない」と手応えを語っていた。一方で一、二塁間で3人が守る「大谷シフト」で安打性の当たりを捕球される場面も多かっただけに、通常シフトならより内野手の間を抜く安打が期待できる。

 (2)ベース大型化
 各塁のベースサイズを15インチ四方(約38・1センチ)から18インチ(約45・7センチ)四方に拡大する。狙いはスピーディーなプレーの促進。本塁から一塁まで約8センチ、一塁から二塁まで約12センチ短くなるとみられ、昨季26盗塁、内野安打22を記録した大谷の俊足がより生かされる。また塁上の衝突事故を減らす狙いもあり過去に一塁への駆け抜けで右足首を痛めた大谷にとって朗報。二刀流として、よりプレーに集中できる環境となる。

 (3)投球間隔制限
 無走者の場合は14秒、走者を背負っている際は19秒とする。大リーグでは試合時間が増加傾向で試験的に行われた昨季のマイナーリーグでは試合時間が約20分短縮された。昨季はヤンキースの左腕コルテスが変則的なモーションで「大谷封じ」に躍起になったように今後はさまざまな手段でライバルたちは大谷を封じにかかってくることが予想されていた。元々、テンポが良い「投手・大谷」にとっても障壁とならない。

 昨季は投手で9勝を挙げるだけでなく46本塁打&100打点でタイトル争いも演じ、満票でア・リーグMVPに輝いた。初めて規定打席に到達した昨季の打率は・257。特に(1)、(2)は打率アップにつながる可能性が高く、アジア人で初の3冠王も夢ではない。大谷にとって追い風のルール改正となりそうだ。

 《導入の狙いは“多様性”》ロックアウト前に本紙の取材に応じたMLBの競技運営最高責任者のモーガン・スウォード氏は極端な内野シフト禁止を推奨し「シフトの影響でメジャーの平均打率は下がり、全員がパワーで勝つ野球を目指すようになった」と言う。近年の「フライボール革命」の影響も重なり、守備力や走塁が評価されにくい傾向。シフト禁止は大谷のようなスピードを持ち合わせる選手がより評価されることにつながる。「いろいろなタイプの選手が勝利に貢献できる野球を目指す」と同氏。なお今季3Aで導入予定のロボット審判員の採用は選手会の反対で見送られた。

 《マイナーで続々試験》大リーグ機構(MLB)はこれまでマイナーリーグで投球間隔を15秒に制限、ベース大型化、けん制球の回数制限を試験導入。提携する独立リーグでは投本間の距離の1フィート(約30・5センチ)延長、ロボット審判なども実験してきた。今春に別の新ルールを試験予定だという。メジャーでは19年からベンチ入り投手の上限を13人に定めた、その例外となる「二刀流枠」を創設。コロナ下であることに配慮して過去2年は上限ルールは適用されず、今季から実施予定となっている。

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