座右の銘は「無知の知」 虎のソクラ“テル”が自ら考えてセーフティーバント 「選択肢のひとつ」

[ 2022年2月17日 05:30 ]

ケース打撃で、セーフティースクイズを試みる佐藤輝(撮影・平嶋 理子)  
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 阪神の佐藤輝明外野手(22)が宜野座キャンプ第4クール2日目の16日、チーム恒例の一日キャプテンを務めた。座右の銘を記すTシャツには哲学者・ソクラテスの言葉「無知の知」を記入。固定概念に縛られない重要性をナインに説いた大砲はケース打撃で意表を突くバントを敢行するなど、有言実行の一日を過ごした。

 一日主将を務めた佐藤輝からは、意外な言葉が飛びだした。恒例の練習前スピーチ。ナインに紹介したのは、哲学者・ソクラテスによる名言「無知の知」だった。

 「好きな言葉なんですけど、自分が無知である、知らないことを自覚するのが大事。固定観念に縛られない。自分が知らないことを自覚することが大事ということです」

 すぐさま、井上ヘッドと糸原から「おまえはもっと縛られろ!」とヤジられ、グラウンドは笑いに包まれた。だが、それも、ご愛嬌(あいきょう)。近大時代に「こういう考え方もあるんだ」と心に響き、好きになったという。2年目を迎え心身ともに充実したキャンプを送っている大砲候補はさっそく、固定観念にとらわれないプレースタイルを披露した。

 午後に行われたケース打撃でのことだった。無死一、三塁で、マウンドには育成左腕・渡辺。その初球に、セオリーにはないセーフティーバントを試みた。結果はファウルとなったが、相手の意表をついたことは間違いない。「もう自分で、想定しながら」。自らの意思だったことを明かすと、言葉はさらに、熱を帯びていった。

 「思わせるのもそうですけど、実際にやっていきたいと思っている。絶対に出塁しなければならない場面でできたらでかいので。選択肢を広げるという意味でもできた方がいい。特に(きょうの渡辺のような)変則(投手)とかは確率よく打つのが難しいので、そういう選択肢のひとつとして増えたらいいな」

) 豪快な打撃が最大の持ち味。これまでのキャリアでセーフティーバントや犠打は皆無だっただろう。ただ、球界最年長の中日・福留でさえも、相手の隙をついて小技を仕掛けるケースがある。全ては勝利の確率を少しでも高めるためのもの。「世界を動かそうと思ったら、まず自分自身を動かせ」。これもまた、ソクラテスの名言だ。(石崎 祥平)

 ▽ソクラテス 紀元前470年生まれの古代ギリシャの哲学者で、釈迦(しゃか)、キリスト、孔子と並び四聖人と称される。抽象概念の明確化やアレテー(徳)を重視する生き方を説いたが、自身は著作を残さず、思想は弟子のプラトンらの著述によって後世に広まった。

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