エンゼルス・大谷 笑顔なき42号は友情の証 兄貴分の元同僚・ヒー二―撃ちでメジャー80人斬り

[ 2021年9月1日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス8-7ヤンキース ( 2021年8月30日    アナハイム )

<エンゼルス・ヤンキース>5回無死、大谷は42号ソロを放つ(撮影・沢田 明徳)
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 エンゼルス・大谷翔平投手(27)が30日(日本時間31日)、ヤンキース戦で、3試合ぶりのアーチとなる42号ソロを放った。7月までの同僚ヒーニーからの一発で、リーグ2位のゲレロ(ブルージェイズ)らと4本差。同時に、これでメジャーで本塁打を打った投手は80人目に。28日の打席で右手首付近に投球を受けた影響で31日(同9月1日)に予定されていた先発登板は回避したが、バットで快音を響かせた。

 ケガに、痛みに強い。それもまた一流選手の条件だ。左打者の大谷にとって、スイングをリードする右手。登板を回避するほどの痛みがありながら、力強い打球は普段と変わらなかった。

 滞空時間は6秒17。角度38度で夜空に高々と舞い上がった打球は、431フィート(約131メートル)の飛距離で右翼スタンドに舞い降りた。右手を負傷しているとは思えない。ジョー・マドン監督は「あそこへ飛んだのは見たことがない。431フィート?数字以上に飛んでいる」と感嘆の声を上げた。

 マウンドには7月末にヤンキースへトレードで移籍した3歳上の左腕ヒーニーがいた。1カ月前までの同僚。ともに食事をし、一緒にバスケ観戦にも行くなど親交が深かった。キャッチボールの相手でもあり、紅白戦で打席に立ったこともある。打ったのはカーブ。軌道は確実に脳裏にインプットされていた。米通算89号。本塁打を放った投手は区切りの80人目に達した。

 5―5から一時勝ち越しの一発。ベンチが沸く一方で、大谷に笑顔はなかった。自身と同じく肘のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けたことのあるヒーニーは、入団時から常に気にかけてくれた兄貴分。移籍会見では「翔平は比類なき存在。彼は怪物。僕にまねはできない」と特別な存在と語った。笑顔なき42号。大谷らしい左腕への敬意と友情の表れだった。

 豪快な一振りで、この日先に2発を放ったゲレロ、前日に38号アーチを記録したペレス(ロイヤルズ)に4本差とした。球団史上では00年グラースの47本、19年トラウトの45本に次ぐ単独3位へと浮上。今季のヤ軍戦は5戦4発の大当たりで、敵将アーロン・ブーン監督は「いい気分はしなかった。見たくなかった」と顔をしかめた。今季の長打72本も、05年にヤ軍の松井秀喜が記録した71本を上回り日本選手最多だ。

 残りはちょうど30試合。現在の51本塁打ペースをどこまで伸ばすか。大谷のバットが休むことはない。

 ≪ゴジラは140人斬り≫日本選手1位の通算175発を放った松井秀喜(元ヤンキース)は、140人の投手から本塁打し、117本で同2位のイチロー(元マリナーズ)は93投手から。上記2人は同じ投手から最多で4本放っているが、80投手から89本を記録した大谷は最多でも1投手から2本と、幅広く攻略しているのが際立つ。ちなみに歴代最多762本塁打のバリー・ボンズ(元ジャイアンツ)は449投手から放った。

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2021年9月1日のニュース