甲子園沸かせた「超スローカーブ」の西嶋亮太氏 小樽双葉高で“西嶋2世”育成中

[ 2021年9月1日 05:30 ]

小樽双葉の西嶋コーチ(左)は外村を指導する(右から2人目)(撮影・石川加奈子)
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 東海大四(現東海大札幌)のエースとして14年夏の甲子園に出場した西嶋亮太氏(25)が“西嶋2世”を育成中だ。1メートル68の小柄な体から繰り出す超スローボールで甲子園を沸かせた右腕は、6月中旬から小樽双葉の外部コーチを務め、投球術や戦術を伝授している。

 ジャージー姿の西嶋コーチは、グラウンド内を飛び回っていた。野手のスローイングを手取り足取り教えたかと思えば、投手陣を集めて配球の基本的な考え方を説く。会社員のため指導は週末のみだが、夢だった高校野球の指導に携わり「面白い」と目を輝かせた。

 小樽双葉の長谷川倫樹監督(38)と葛西悠太部長(32)が東海大四出身だった縁もあり、6月中旬に外部コーチに就任した。すぐにエース横野智哉(3年)のフォーム修正に着手。南北海道大会初戦で対戦する母校の東海大札幌打線を研究し、攻め方を伝授した。

 横野は両足がつって7回途中降板したが、6回までは2失点と好投していた。西嶋コーチ就任前の135キロから145キロまで球速を伸ばし、「西嶋さんのおかげ」と感謝する。長谷川監督も「小学生の時に新聞やテレビで見た投手が指導してくれるので、子供たちもキラキラしている」と加入効果を口にする。

 高校時代は、計測不能な超スローボールで14年夏の甲子園を沸かせた。1メートル68と小柄ながら、抜群の制球力と優れた洞察力を武器に打者を打ち取っていった。その全てを伝えるため、練習試合では打者心理や駆け引きを解説。LINEを通じ、個々の質問にも答える。1日に組み合わせが決まり、10日に始まる秋季小樽支部予選に臨む新チームの主将・石坂誠樹(2年)は「視野が広がった」と言う。

 エースの外村一翔(2年)は「実戦を想定するので凄く疲れる」と西嶋コーチが見守るブルペン投球で頭をフル回転させる。超スローボールも練習中で、長谷川監督は「体格も似ている」と“西嶋2世”の期待をかける。

 「教えたいのは技術よりも負けない戦い方。試合の流れと考え方が大事。一球を反省しがちだが、実はその何球も前から反省点がある」と西嶋コーチ。選手と会話を重ねながら、再び甲子園を目指す。

 ◇西嶋 亮太(にしじま・りょうた)1996年(平8)4月10日生まれ、帯広市出身の25歳。小学1年で野球を始める。帯広六中時代はとかち帯広シニアでプレー。東海大四では1年春の札幌支部予選で背番号10で初ベンチ入りし、3年夏の甲子園では九州国際大付に勝利。卒業後、社会人野球のJR北海道(現JR北海道硬式野球クラブ)に入り、投手、内野手として4年プレーして退社。現在は札幌市内の会社で営業職に就いている。

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