槙原寛己氏 エンゼルス・大谷、遅かったスプリット選択「いい落ち」よけい悔やまれる29球目

[ 2021年7月2日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス11ー8ヤンキース ( 2021年6月30日    ニューヨーク )

<ヤンキース・エンゼルス>7失点だった大谷(AP)
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 【槙原寛己 視点】大谷は相手打者と勝負する前に自分との戦いに負けた感じだ。球道定まらない立ち上がり。いきなり3連続四球の満塁から連打を浴びた。2点を失い、なお無死満塁。疑問が残るのはここまで打者5人に、被打率が一番低いスプリットを1球も使わなかったことだ。

 初めて落としたのは6番のオドルに対する0―1からの2球目。この試合29球目だ。空振り。もう1球続け、空振り三振で最初のアウトを奪った。いい落ちをしたから、それまで使わなかったのがよけい悔やまれる。

 投げていい場面はあった。先頭のラメーヒュー、3番のサンチェスはカウント2―2からスプリットを使わないまま歩かせ、4番のスタントンには1―2と追い込みながら外角のスライダーを左前に運ばれた。悪いコースじゃなかったけど、リーチが長い右打者には危険な球。続くトーレスにも甘いスライダーを痛打された。早い段階でスプリットを使っていたら違う展開になったと思う。

 死球も含めて不利な判定もあったけど、逆球だと際どいコースは取ってもらえない。スズキと話し合って配球を見直すと同時に、カウントを整えるスライダーの精度を上げてほしいね。

 右打者の内角、左打者の外角。「いっちゃった」じゃなく、狙って投げられたら「ストライク」になる。二刀流でブルペンに入る時間は限られるけど、キャッチボールでも修正できると思う。

 疲労を最小限に食い止めた41球での交代。またバットで活躍し、次回登板では打者と勝負する姿を見たい。(スポニチ本紙評論家)

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2021年7月2日のニュース