赤星憲広氏 二塁打3本!末恐ろしい佐藤輝 追い込まれても崩されない めざましい進化をみせた打撃

[ 2021年5月16日 08:30 ]

セ・リーグ   阪神3-5巨人 ( 2021年5月15日    東京D )

<巨・神>1回2死三塁、佐藤輝は左中間に先制の適時二塁打を放つ(撮影・大森 寛明)
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 【赤星憲広 視点】阪神・佐藤輝がめざましい進化を遂げている。3本の二塁打を放ったが、サンチェスからの最初の2本はいずれも追い込まれてからの変化球。タイミングを少し外されて当てただけのように見えるが、下半身が強く、完全には崩されていないため打球は速い。並の打者ならもっと前に出させられても仕方ない重心が、踏ん張れている。

 8回の左腕・中川から右翼線に引っ張った3本目はスライダーが真ん中付近だったとはいえ、やはりギリギリのところで体勢は粘っていた。開幕から徹底的に攻められているインハイの速球とボールゾーンの変化球は振ってもヒットになりにくいので、いかに見逃せるかなのだが、それができつつある。この日のようにストライクゾーンを打っていけば自然に率(・280)も上がってくる。

 だからといって、持ち味が失われているわけではない。早いカウントでは変わらずフルスイングしているし、その中で相手の配球を考え、得点圏など状況に応じた打撃も試合を追うごとにできているから、末恐ろしい。

 プロ初黒星の伊藤将はいい勉強になった、と切り替えてほしい。5回2死走者無しからの逆転負け。スモークに喫した3ランもフルカウントまではいいボールを続けていた。最後のカットボールだけが真ん中に入った。しかし決して四球で崩れたわけではなく、持ち味は出している。ものすごく悔しいだろうし、この一球を反省して、今後の糧にできるかが大事だと思う。

 巨人もさすがだ。初回から重盗で1点を取ってきて、若林や丸の好走塁、ウィーラーの好守、そして9回の継投…。絶対に負けられない一戦、独走は許さないという執念を感じた。投打の中心選手が不在でも、まだ3・5ゲーム差で食らいついているのは不気味。ライバルはやはり巨人になる。(スポニチ本紙評論家)

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2021年5月16日のニュース