けがとの戦い、指名漏れ…巨人ドラ1・平内 “険しい道”走り続けた経験を力に

[ 2020年11月19日 09:00 ]

巨人からの指名を受け笑顔で会見する亜大・平内龍太(撮影・小海途 良幹)
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 ドラフト指名された選手の指名あいさつ、仮契約が徐々に進んでいる。積み重ねた努力が実を結んでたどり着いた夢の舞台。それぞれの選手はそこに至るまで、決して簡単な道のりではなかっただろう。

 巨人にドラフト1位指名された亜大・平内も、その一人だ。母校・神戸国際大付の青木尚龍監督は「(高校時代は)成長していく中で故障が多くて、まともに投げられたのは最後の夏だけだったと思います」と話す。亜大入学後も、1年春に右大腿骨を骨折。その年の夏には右脇腹痛で離脱した。今年3月には右肘のクリーニング手術を経験するなど、けがとの戦いを乗り越え、プロ入りの夢を叶えた。

 平内は12日に、その神戸国際大付を訪れ、青木監督らに改めて指名報告を行った。4年前はプロ志望届を提出し、同校の会議室でドラフト会議を見守ったが、指名漏れ。悔しさを味わった場所に1位指名を受けて“凱旋”し「1軍での活躍が自分のできる恩返しだと思う」と力強く語り、後輩にも「夢や目標を持って頑張ってください」と熱いエールを送った。

 平内は実際に、険しい道で体作りに励んでいた。同校グラウンドの左翼側にある小山を走る「山ラン」と呼ばれるメニューだ。約1キロの山道を1週3分で回り、10週。「とにかくアップダウンがきつくて、足はパンパンになります」。それを冬場の約2カ月間、ひたすら繰り返していたという。

 報道陣にも、その下半身強化の原点とも言えるルートを案内してくれた。足場の悪さと険しさは想像以上。思い出を問われると「結構でかい野犬がいます。1回追いかけられたことがあって、そのときは人生最速で逃げました」と懐かしそうに笑った。

 チームメイトとの競争では「大体1~3位ぐらい。速い奴がくると負けられないなと」と負けず嫌いの一面も見せた。プロ野球は弱肉強食の厳しい世界。それでもその負けん気と、平たんではない道を走ってきた経験が、今後の大きな力になるはずだ。(記者コラム・田中 健人)

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