阪神・福留 若虎に金言「限界つくるな」 球団が正式に退団発表 タテジマで最後の雄姿

[ 2020年11月7日 05:30 ]

練習前、あいさつする阪神・福留孝介=鳴尾浜球場(代表撮影)
Photo By スポニチ

 阪神は6日、来季の構想外となった福留孝介外野手(43)、能見篤史投手(41)、上本博紀内野手(34)の今季限りでの退団を発表した。福留はこの日、鳴尾浜球場での練習を打ち上げ、タテジマに別れを告げた。8年間、チームを支えた大ベテランは若虎たちに金言を残し、自らは衰えない野球への情熱を胸に現役続行の道を模索する。 

 いつの間にか、すっかり体の一部になっていたタテジマのユニホームをついに脱ぐ時が来た。メジャー挑戦を終えて帰国した13年の入団以来、8年間。猛虎を支え続けてきた福留は、日本一のファンへの感謝を口にした。

 「甲子園の満員の中でああやって味方としてね、あの声援を受けることができたのは僕の思い出ですし、財産です。阪神にいる選手しか味わえないことを経験させてもらったので。そこに関しては本当に感謝ですね」

 中日時代に首位打者2回にMVPを獲得。当時の印象は華やかでも、昨オフにふと「中日で9年やったけど、阪神も来年で8年目なんだよな。気がつけばすっかりこっちの人やな」とつぶやいたことがある。17年には球団史上最年長の40歳で主将に就任。試合ではここぞの場面で頼れる百戦錬磨として、試合以外でも若手の最高の手本として、チームの看板を背負ってきた。

 自身最後の練習前には左翼の芝生の上でスタッフや後輩たちにあいさつ。約5分間にわたって熱い“金言”を残した。強調したのは「自分で限界をつくるな」、「1人で練習する時間をつくれ」の2点。妥協を許さず、ストイックに野球と向き合ってきた43歳ならではの言葉は、若虎の胸に響いたはずだ。

 コロナ禍の影響を受け、思うような調整もできなかった今季は、43試合で打率・154、1本塁打、12打点。過去最悪の成績に終わったが、情熱の火は消えていない。「どこかでまた野球ができればと。それは僕の気持ちだけで決まることではない。そのために自分はまた明日から準備して。そうなればいいのかなと。体は元気なんで」。3試合を残している1軍戦で最後のタテジマを見せることも提案されたが「今、そういう状況でもないと思いますし、お断りさせていただいて」と辞退し、前だけを見据えている。多くの記録と記憶、そして後輩への財産を残し、福留が阪神を去る。(山添 晴治)

 【福留と一問一答】

 ――8年間を振り返って。

 「優勝できなかったので悔いは残りますけど、良い時も悪い時もありながら、周りの方々に支えられながらやってこられたのは、感謝の一言ですね」

 ――この1年は。

 「今季はこういう特殊なシーズンでしたけど。その中で自分のできることがなかなかできなかった。そういう意味では消化不良というかそういうところありますけど。それもまた自分の野球人生なので。それはそれで直に受け止めています」

 ――来年で44歳。肉体の面は。

 「体は元気なんで。大きな故障もなかったですし。体は元気なので、自分の気持ちが、何て言うんですかね。自分の気持ちがなえなければというか、そういうふうにならなければ頑張れるんじゃないかと思っています」

 ――今後はどういう形で練習を。

 「全く何も決めてないです。とりあえず、1回ゆっくりして、そこからまた。それはいつもシーズンに向けて準備するように、普通に準備します」

続きを表示

この記事のフォト

2020年11月7日のニュース