日本ハム・樋口 札幌D初安打 横浜高「大先輩」涌井撃ち

[ 2020年10月8日 11:01 ]

パ・リーグ   日本ハム2―2楽天 ( 2020年10月7日    札幌D )

<日・楽(20)>5回無死、左安打を放つ樋口(撮影・高橋 茂夫)
Photo By スポニチ

 日本ハムの樋口龍之介内野手(26)が7日、楽天戦の5回に横浜高の大先輩にあたる涌井秀章投手(34)から札幌ドーム初安打となる左前打を放った。球団史上初めて育成ドラフト入団から支配下登録を勝ち取った苦労人が、本拠での出場4試合、11打席目で悲願の初安打。チームはAクラス入りを争う楽天に勝ちきれず引き分けたが、オールドルーキーが存在感を示した。

 泥くさく、がむしゃらに。そんな必死な姿勢が樋口の本拠初安打を生み出した。

 「“やっと”って感じ。一生懸命。始まる前は大先輩とやるんだと思いましたけど、試合に入ったら全然気にしていなかった」

 涌井は、後輩からすれば「だいたい(OBで)名前が出てくるのが(西武の)松坂さんと涌井さん」という雲の上の存在。カード初戦だった前日にあいさつに訪れたのが初対面だった。2回は2死三塁の先制機で二ゴロに打ち取られたが、5回についに捉えた。先制された直後で「塁に出ようと思った」という5回先頭。初球の内角ツーシームを引っ張って左前へ運んだ。初球を狙っていたかと問われると「余裕がないので初球からいっているだけ。あの打席は思い切りがいい方向にいってくれて良かった」と初々しく振り返った。

 2軍では45試合でいずれもイースタン・リーグトップの打率・342、12本塁打も、1軍ではここまで7試合に出場して19打数3安打で打率・158、本塁打、打点ともにゼロと苦戦。「2軍でやってきたことを出せればいいが、1軍のレベルだとなかなか難しい」と話していたが、通算143勝右腕から記念の安打を放った。

 樋口は同じく横浜高OBの同僚・近藤の1学年下という縁もあり、立正大を経て入団したルートインBCリーグ・新潟時代から、オフに日本ハムの鹿児島・徳之島での合同自主トレに参加してきた。メンバーだった上沢は「横浜高校の後輩はみんな近藤に頭が上がらない感じだけど、あいつは近藤にも結構強く言ったりする。“近藤さん、(高校時代の)公式戦の時、全然打たなかったじゃないですか”とか笑いながら言ったり…」と明かす。それだけでなく野球面でも「基礎がしっかりしている。遠投でも僕に負けないくらいの肩の強さ」と総合力の高さを評価していた。

 1メートル68と小柄ながら力強いスイングが持ち味の背番号93。クライマックスシリーズ進出は厳しい状況となっているが、2年ぶりのAクラス入りへ、3位・楽天とは3ゲーム差だ。それだけにドローは痛いが、樋口がキラリと光る一打を放った。(東尾 洋樹)

続きを表示

この記事のフォト

2020年10月8日のニュース