大谷、天国まで届け!訃報から一夜明け…8回代打で追悼の右前打

[ 2019年7月4日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス9―4レンジャーズ ( 2019年7月2日    アーリントン )

8回に代打で右前打を放つ大谷(AP)
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 亡き兄貴分に快音を届けた。エンゼルスの大谷翔平投手(24)は2日(日本時間3日)、レンジャーズ戦の8回に代打で出場。右前打を放ち、3試合ぶりに打率を3割(・303)に復帰させた。チームトップの7勝を挙げていたタイラー・スカッグス投手(享年27)の急逝が発表された1日は同戦が中止に。先発陣のリーダー的存在だった左腕を弔うべく臨んだ試合に9―4で勝利し、連敗を3で止めた。

 横手投げの変則左腕セントジョンの変化球攻めに、大谷はどこまでも食らいつき、ボール球は辛抱強く見極めた。9―4の8回1死一塁、代打で打席へ。カウント2―2、9球目の外角スライダーをうまく拾い右前打とした。打率は・303と再び3割台に。得点にこそ結びつかなかったが、特別な一戦で、勝利への執念を他の選手に劣らず示した。

 「昨年エンゼルスに入団以来のチームメートで、親しかったスカッグス投手が突然亡くなられた悲しみの中、発する言葉もありません。今はただただ同投手のご冥福を、心からお祈りしております」

 先発陣の精神的支柱だった27歳の早すぎる死に、大谷は球団を通じてそうコメントを発表した。前日の同カードは中止。訃報から一夜明け、エ軍は心に深く刻まれた傷をこらえながら試合に臨んだ。

 「タイラー(スカッグス)はそう望むと思うから」。ブラッド・オースマス監督はそう言葉を紡いだ。2点ビハインドの5回に追い付き、6回に4点を勝ち越した。試合前には黙とう。チームはスカッグス投手の背番号45のユニホームをベンチにつるし、ワッペンを胸につけた。敵地ながらマウンド後方には赤字で45の数字が刻まれ、レンジャーズも打者が打席に入る際のテーマ曲やイニング間のイベントを自粛した。

 試合後のエ軍の首脳陣は、選手一人一人と普段のハイタッチではなくハグで迎えた。試合後の記者会見は監督以下、ナインの大半が参加。8回に試合を決定づける2ランを放ったカルフーンは「本当の天使が、天から見届けていると知っていたから」、同期入団のトラウトは「起きてから1打席目まで、彼のことしか考えられなかった」と泣き崩れた。

 発言をする機会はなかったが、同様に会見場に姿を見せた大谷も終始、神妙な面持ち。突然訪れた別れのつらさをにじませていた。

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