【斎藤隆MLBリポート】8月は日本選手の「品定め」が熱い季節

[ 2017年8月17日 11:00 ]

プロ野球の視察に訪れた斎藤隆氏(左)
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 8月に入ると、日本の球場のネット裏にはメジャー関係者の姿が目立つようになります。パドレスも球団幹部が入れ代わり立ち代わり来日。私も彼らと一緒に球場に足を運んで、日本の選手をチェックしています。

 メジャー球団の編成に携わる人間にとって、8月はどういう時期なのか。6月のドラフトが終わると、球団幹部の目は米国内から米国外へ移ります。国外のアマチュア選手との契約期間は7月2日から翌年6月15日までと決まっており、7月は中南米の有望選手の獲得合戦で忙しくなります。それが一段落するのが、8月。9月に入ると、今度は来季のチーム編成をする上で重要な若手参加のフォール(秋季)リーグが始まってしまうので、その前に幹部が日本選手の「品定め」のためにやってくるのです。

 それでも、時代は変わりました。私がメジャーに挑戦した頃(06年)は、私の名前すら知らない球団もたくさんあったでしょう。以前はネット裏からビデオで映像に収め、それを米国に送るという作業が主流でしたが、今はインターネットで選手の情報は簡単に入手でき、映像もあふれています。オフにFAになるならないは関係なく、1軍のレギュラークラスなら、ほとんど知っています。名前だけでなく、特長まで分かっています。

 そうなると、求められるのは、「150キロ以上投げる」とか「一塁まで何秒で走る」といった数字で見える情報以上のもの。スカウトの眼力が、より試される時代なのです。パドレスではよく、選手の順位付けを要求されます。どの能力に重きを置くかで、当然順位は変わります。「俺たちは予想家ではない。当たり外れではなく、お前が見たもの、感じたものを書けばいい」とアドバイスしてくれますが、これはなかなか難しい作業です。

 8月は日本市場が一番ホットな時期。ライバル球団同士が同じ球場で会うと、みんな笑顔であいさつしたりしていますが、彼らにとっては、誰を狙っているかの探り合いになります。(パドレス球団アドバイザー)

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2017年8月17日のニュース