批判も原動力に 巨人・阿部の“負けじ魂”「小林を成長させたいなら…」

[ 2017年8月17日 10:00 ]

巨人・阿部の2000本安打記念Tシャツ
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 巨人・阿部が、史上49人目の通算2000安打を達成した。8月13日広島戦の最終打席で右前打し、直後に記者会見。会見が終わると報道陣全員に、記念Tシャツが配られた。

 球団広報から「各メディアの巨人担当記者、カメラマンに、次戦の取材の際に着用していただきたい」という説明があった。15日の試合前練習で高橋監督、コーチ、選手、スタッフとともに、報道陣も「2000HITS」のロゴが入ったTシャツを着用した。阿部の発案ということを聞き、うれしく思った。

 阿部は「常勝軍団」の捕手として、マスコミの批判とも闘ってきた。約30人の記者を前にしたインタビューで、本音を明かしたことがある。「人間不信に陥った1年だった」。プロ1年目の01年のことだ。開幕スタメンマスクをかぶると127試合に出場。チームはリーグ2位で優勝を逃し、正捕手に批判の矛先が向けられた。

 「みなさんに叩かれてね。仲いい記者とご飯行って、飲んで、騒いで、次の日(報道を見たら)自分をぶっ叩いていた」

 それでも阿部は、批判を原動力にした。07年から8年間は主将を務めた。主将、正捕手、4番という3足のわらじを履き、チームを6度のリーグ制覇、2度の日本一に導いている。「それ(批判報道)があって“なにくそ”と頑張ったし。期待をされていたというのも分かった」と振り返った。現在、正捕手を務める小林の名を挙げ、「小林を成長させたいならもっと叩いた方がいいと思うよ」と異例の注文までつけた。

 阿部の「言葉の力」は凄い。ユーモアであふれ、会見は笑いに包まれる。プロ17年で最大の失敗を聞くと、「サヨナラホームランを打って興奮してて、ガムを噛みながらお立ち台に立ったら、苦情の電話が殺到したこと」と言って笑わせた。「ヒーローから一転、どん底まで突き落とされたよ」と付け加えて、記者と一緒に笑った。

 プレーでも言葉でも、38歳にワクワクさせられている。通算2000安打、本当におめでとうございます。(記者コラム・神田 佑)

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2017年8月17日のニュース