阪神ドラ4、福岡大大濠・浜地は老舗の息子 最高の親孝行なるか

[ 2016年11月10日 10:30 ]

阪神ドラフト4位指名の福岡大大濠・浜地

 10月20日のドラフト会議で、阪神タイガースは全国各地に散らばる有望株8人を指名した。阪神担当記者である私も、翌日21日からさっそく新人連載取材にシフトチェンジ。連日のように指名選手の実家を回る中で、面白いルーツを持つ選手と出会った。4位指名の福岡大大濠・浜地真澄投手である。持ち味の最速150キロを誇る剛球は、もちろん特筆ものだが、浜地家の家柄も興味深い。

 生まれは福岡県福岡市。実家は明治以来、創業140年以上の歴史を持つ浜地酒造「杉能舎」。福岡県内では有名な老舗メーカーで日本酒、甘酒の他に地ビールの製造、販売も手がけている。父・浩充さんでちょうど6代目に当たり、浜地の兄・真太朗は次期7代目の跡取りとして、現在関東の大学に進学し、酒造りの基礎に当たる食品栄養学を勉強中だという。

 そんな家族構成の中で、次男坊としてすくすく育った浜地少年。高校2年生の頃から自家製のノンアルコール甘酒を飲むことを習慣としている。「買えば1本何百円とするものですから、それをガブガブ飲めるのもウチならではですよね」と母・智子さん。酒蔵の息子ならではの体調管理方法で身長1メートル84、体重88キロの恵まれた体格を育み、甘酒以外の食生活も“酒まみれ”だ。

 大好物は実家「杉能舎」が経営する「杉能舎パン工房」の「酒粕チーズベーグル」。酒蔵の隣にカフェスペースが設置されており、日中は名物のベーグルパン各種を求め、地元民が殺到する人気店だ。「添加物もなく、カロリー的にもヘルシーだし、アレルギー持ちの人にも良い。酒粕だからって甘く見たらダメですよ」と智子さんの言葉にも熱が帯びる。実際、私も試食させてもらったが、なるほど食べやすく、何個でもいける美味しさだ。「真澄の体は酒の良い栄養分でできている」と両親が語るように、浜地本人も風邪を引いたことはこれまでに数えるぐらいにしかないそうだ。

 浩充さんは冗談めかした様子で“野望”を明かしてくれた。「真澄も阪神に入団することだし、大阪や関西に進出できれば…なんて思ったりもしてるんです(笑い)。優勝のビールかけもウチのを使ってもらったりして…。とにかく真澄には一生懸命、しっかり自分を持ち続けて頑張って欲しいです」。自身の活躍が何よりの恩返しになることはわかっている。その大前提の上でプラスアルファの使命を背負った。最高の親孝行を目指し、酒屋の息子がプロ野球の門を叩く。(記者コラム)

続きを表示

2016年11月10日のニュース