【ソフトB和田独占手記】メジャーで感じた球宴の価値 1試合制を提案

[ 2016年7月16日 09:30 ]

<全パ・全セ>2回をパーフェクトに抑えて大谷(左奥)らナインに出迎えられる和田(左から2人目)

マツダオールスターゲーム2016第1戦 全パ4―5全セ

(7月15日 ヤフオクドーム)
 日本に帰ってきた年に福岡でのオールスター開催。ヤフオクドームでホークスのユニホームを着る。感謝の気持ちで一球一球を目いっぱい、投げました。変化球も交えましたけど、日本を代表する打者を抑えられたのはうれしかったですね。

 初めてオールスターに選んでいただいたのは1年目の2003年。初登板は第1戦(大阪ドーム)に岩隈の2番手でした。10年以上前のことなので、誰と対戦したか記憶は曖昧です。ただ、三塁は小笠原さん、ショートに松井稼頭央さん、二塁が井口さん、一塁はカブレラでした。そうそうたる選手が、ボール回しをしているのは今も鮮明です。これまでテレビの中だけだった光景が目の前にある。その瞬間だけ一人の野球ファンに戻ったような気がします。

 今回で5度目の出場。4年間米国に行ったこともあり、35歳で最年長です。5年ぶりに日本球界へ復帰した前半戦は15試合9勝3敗、防御率3・32。ハーラーダービーではトップタイにいますが、正直、もっと自分がしっかりしていれば、あと何勝かはできたという思いが強くあります。だから、まさか先発を任されるとは思いませんでした。焦りますよ…。10年に本拠地で先発したこともあったし今回はないと。自分よりいい成績を残している投手ばかりだし、(早大の)後輩の有原に本気で譲りたいと思ったくらいです。

 実は米国では一度「オールスター」に選出されたことがあります。14年のマイナー・オールスターのメンバーに入り、チームメートには「おめでとう」と祝福されました。ただ、選ばれた時点で休み明けの翌日にマイナーで登板してから次の登板がメジャーで投げるのが決まっていたので辞退することに…。当時チームメートで現在カブスのローテーション投手のカイル・ヘンドリックスは同じ時期にメジャーに上がったのですが、日程的に余裕があったのでマイナー・オールスターに出場しました。これまた運命なのでしょう。

 比較するわけではありませんが、メジャーのオールスターは1試合。巡ってくるのは何十年に1度。開催地になれば数カ月前から準備をして街中がお祭り仕様に変わります。全てまねは良くないですが、基本的に1試合制に自分は賛同します。

 日本でやるとすれば試合前日に、オフのファン感謝デーみたいにスタジアムにお客さんを入れてオールスター選手による野球教室やサイン会、イベントなどの交流。球場の近くには出店が出たり、繁華街ではパレード。夜は選手の家族もグラウンドレベルに降りてホームラン競争をみんなで楽しむ。そして一夜明けた次の日は一発勝負というのはどうです?楽しそうじゃないですか?収益の議論もあると思いますが、選手側も開催地が一つならば家族を呼びやすいし、ファンと一緒に楽しめる。選手の負担も減るし本当に文字通りの「球宴」になり、その価値は高まるんじゃないかなと思います。(福岡ソフトバンクホークス投手)

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2016年7月16日のニュース