オールスターの価値を高めるため…参考にしたい大リーグ「球宴週間」

[ 2016年7月16日 10:10 ]

オールスター2日前の10日、「フューチャーズゲーム」に盛り上がるサンディエゴのファンたち(AP)

 大リーグは日本プロ野球より一足先に、12日にオールスター戦を終えた。大リーグ機構は「オールスターウィーク」の間に開催地サンディエゴを訪れた観光客は、のべ25万人と見積もった。

 試合当日の入場者数は4万2386人。ただ大リーグの「オールスターウィーク」は試合だけではない。今年は7~12日までの6日間に設定され、サンディエゴで様々なイベントが行われた。前日に行われる恒例の本塁打競争や、マイナーのオールスターにあたる「フューチャーズゲーム」にとどまらず。少年少女向けの野球体験イベントや5キロマラソンに、今年はヨガ教室も加わった。コンサートやパーティーも開催され、お祭りムード一色の1週間。サンディエゴ観光局は6000~7000万ドル(約70億円前後)の経済効果を期待しているという。昨年のシンシナティは6500万ドル(約69億円)の経済効果をもたらしたとされている。来年地元開催となるマーリンズのデービッド・サムソン球団社長は「大事なのは試合だけじゃない。1週間かけて、どれだけのファンを満足させられるか。来年はマイアミならではのサービスを今から思案中です」と話した。

 これだけの経済効果があれば、1試合だけの開催でも問題ない。日本プロ野球では収益面の関係で1試合開催に踏み切れないでいる。メジャーは30球団なので、単純計算でその球場でオールスターが行われるのは30年に一度。この稀少価値もお祭りムードに拍車をかける。今年の日本はヤフオクドームと横浜スタジアムで開催されたが、ヤフオクは10年以来6年ぶりで、横浜は08年以来8年ぶり。東京ドームでは00~15年の16年間で実に4度も開催されている。

 日本でも様々なイベントを新設し、より多くのファンに喜んでもらえるよう改革は進んでいる。横浜では豪雨により中止に追い込まれてしまったが、15日に第1戦のパブリックビューイングや、地元出身歌手のライブ、野球体験コーナー、球宴記念館の新設などを企画していた。規模が拡大し浸透して「球宴週間」となれば、ビジネス面から見ても現行の2試合に匹敵するか、それ以上の興行にもなれるはずだ。

 あくまで仮定の話だが、日本で将来的に球宴が1試合となったとしても、開催は12球団の本拠地に限らないでほしい。やはり普段球場へ足を運ぶことが難しい地域のファンにも、目の前で球宴を楽しんでもらいたい。地方球場も含めて、その地方ならではの特色を生かした「球宴週間」をプロデュースしての誘致合戦にまで発展したら面白い。賄賂の温床となっては困るけど。交流戦の導入でかつての夢対決は日常のものとなったが、オールスターの価値を高めるために球界ができることはまだまだあるはずだ。(記者コラム・後藤 茂樹)

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2016年7月16日のニュース