【広島・野村独占手記】黒田さんのように…抜群の安定感支えた心境の変化

[ 2016年7月16日 10:30 ]

<全パ・全セ>セ・リーグ3番手・野村は力投する

マツダオールスターゲーム2016第1戦 全セ5―4全パ

(7月15日 ヤフオクドーム)
 「マツダオールスターゲーム2016」は15日、ヤフオクドームで第1戦があり全セが全パを下した。4年ぶり2度目出場の広島・野村祐輔投手(27)は3番手で5回からの2イニングを1失点に抑えた。登板15試合でリーグトップの11勝を挙げ、チームの首位独走に貢献した前半戦。抜群の安定感を取り戻した要因は何か。秘めたる逸話をスポニチに寄せた独占手記で明かした。

 球宴の舞台で投げることができて、光栄に思います。ボクにとっては2度目の経験。新人だった4年前は、第2戦の松山で3回を無失点に抑えることができ、敢闘賞を頂きました。期間中は舞い上がってしまい、投げたこと以外はあまり記憶に残っていませんが、一つだけ覚えています。

 DeNAの三浦大輔さんが黙々とランニングされる姿。球宴は気持ちを少し緩め、ひと息つける期間だと思いますが、あれほどのベテランで、しかも長くエースを務められている方が黙々と走っていた。「しっかりランニングしておけよ」と助言されたことが、すごく印象に残っています。

 右も左もわからなかった1年目と違い、今回は本当に楽しみです。同じベンチには巨人の菅野もいる。同学年で大学時代から仲良くしているし、いろいろ話ができればと思います。他にも素晴らしい選手がたくさんいるので、どんどん吸収したいと思っています。

 前半戦の成績は上出来ですね。昨年までは不安を抱えてキャンプに臨んでいましたが、今年は自主トレから順調で、気持ちをリセットして入ることができました。重点的に取り組んだのは体重移動です。ズレるかズレないかで大きく違う。悪い時は一塁側に流れる体重を、投げたい方向へ真っすぐに移す。いま意識するのはそこだけです。

 右肩の不安が無くなったのが大きいですね。1年目から傾向があり、2年目の春に痛めて悪いフォームが染みついた。こう動くと痛む。それを脳が覚えている。痛みがある時は、意識するポイントが肩にしかなかった。解消されたのは昨年夏です。まだ途上ですが、自分の知識や経験を加え、下半身主導の投球ができるようになりました。

 今年の「体を大きく動かす」というテーマも、成績につながっているかもしれません。フォームが小さい―。捕手の石原さんにずっと指摘されていたことです。先発投手は登板が近づくと瞬発系の動きが増えますが、並行して大きな動きを取り入れようと思い、今年は前日でも外野を走る。体を大きく使う方が力を出しやすいし、ボクは体形が大きくないので自主的に取り組んでいます。

 今年はチームも好調です。去年までと違うのは“全員で勝とう”という意識。皆が同じ方向に向いて戦っていると感じます。投手は黒田さん、野手は新井さん。大先輩の存在がいい影響を与えているのは間違いない。年齢が一番上なのに、常に全力で決して手を抜かない。ボクを含めて若い選手は引っ張られ、勉強させてもらっています。

 もちろん、優勝したいと思います。でも、恐らく誰一人、先のことは見ていません。緒方監督が常々言われる1試合1試合を大事に。それがすべて。昨年は最後の1試合に敗れ、クライマックスシリーズに出られなかった。1勝に懸ける執念を皆から強く感じるのは、苦い経験を味わっているからだと思います。

 個人的には、任された先発を最後までまっとうしたい。登板したら、試合をつくってチームの勝利に貢献する。その結果として勝利数や防御率、投球回数などでキャリアを超える成績が残せれば最高ですね。そして、いずれは年輪を積み重ね、先頭に立てる存在になりたいと思っています。誰からも認められた黒田さんのように―。(広島東洋カープ投手)

続きを表示

2016年7月16日のニュース