交流戦で浮き彫りに…セで失われている「大きく育てる」視点

[ 2015年6月17日 09:30 ]

広島・黒田(左)をうならせたソフトバンク・柳田のフルスイング

交流戦 阪神11-4日本ハム

(6月16日 甲子園)
 阪神が大勝して、セ球団で唯一、交流戦の貯金をつくった。ただ、喜んでいる場合ではない。パの打者は「セの投手に力でねじ伏せられることがないから楽」と言った。セのある打者は「あんな速い球は初めて」と嘆く。個の力の差に対する危機感は、勝敗以上に現場の選手が肌で感じている。

 昨年までのホーム、ビジター2戦ずつの24試合から、どちらかの球場での3連戦になった。リーグ戦同様の6連戦。昨年までは先発4、5人で回せたため「パの主力先発投手の質」がパ優勢の理由にも挙がったが、先発6人を要する今年は総合力が問われた。結果は、パの勝率・581は交流戦史上最高となった。

 DH制の有無による選手の成長度の違いは数年前から議論されている。交代を含め、攻守一体となったセの野球は、オールラウンダーを求める。だが「大きく育てる」との視点は失われていまいか。日本ハムの大谷、ソフトバンクの柳田といったスケールの大きい選手は、なぜパに出てくるのか。「守備ができなければドラフトで指名できない」とのセ球団に根付く概念も含め、強化策を見つめ直す時である。

 主催権は2年で1セットであり、来季まで見守る必要はあるが、同じ結末になった場合「人気も実力もパ」となりかねない。こうなると、球界全体のバランスも崩れてしまう。

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