涙の退団から7年…新井 広島復帰決断 年俸10分の1でも“勝負”優先

[ 2014年11月11日 05:30 ]

広島に復帰する新井

 阪神を退団した新井貴浩内野手(37)が広島へ復帰することが10日、分かった。この日、広島市内で球団と話し合いを持ち、入団の意思を伝えた。合意した来季の年俸は今季2億円のわずか10分の1となる2000万円。涙の退団から7年、二度と戻ることはできないと思い悩んだ古巣への復帰を決断した。

 新井が決断した。「ありがたい話を頂いた。気持ちは固まった」。この日、自ら広島へ出向き、球団に入団の意思を伝えた。合意した来季年俸は2000万円。阪神から提示された7000万円をさらに下回り、今季の2億円からはわずか10分の1となる。それでも、故郷での再起には十分な「評価」だった。関係者によると、新井は提示された条件を持ち帰ることなく即断したという。

 最も関心を示したのが、古巣の広島だった。阪神退団が決まった4日、松田元オーナーは「もう一度、広島で野球がやりたい気持ちがあるのであれば歓迎する」と話し、早々と受け入れる姿勢を公言した。

 もちろん、温情だけが理由ではない。松田オーナーは「戦力として考えている」と期待を寄せた。右の長距離打者は今秋の補強ポイント。代打や一塁にとどまらず、今季25試合で先発出場し三塁も守れると判断した。今季、阪神で出場機会が激減した現状を踏まえ、フロントと緒方新監督の間では、獲得可能な状況が訪れた場合を想定して意見交換も重ねてきた。

 新井は07年秋に国内FA権を行使し阪神へ移籍。生まれ故郷、そしてドラフト6位入団から育ててくれた球団に別れを告げた。7年前の涙の会見は「もう戻れない」という揺るぎない決意の表れ。そんな経緯もあり「どんな顔で(古巣に)帰ればいいのか」と思い悩んだが、阪神を出ると決めた理由は「もう一度、レギュラーを目指して勝負したい」という純粋な思いもあった。それをかなえる場所が広島だった。双方の思いが一致し、広島から国内他球団へFA移籍した選手としては初の復帰が実現する。

 ◆新井 貴浩(あらい・たかひろ)1977年(昭52)1月30日、広島県生まれの37歳。広島工から駒大を経て、98年ドラフト6位で広島に入団。07年オフにFA権を行使して阪神に移籍した。05年に本塁打王、11年に打点王のタイトルを獲得。06年第1回WBC、08年北京五輪日本代表。第7代の日本プロ野球選手会会長も務めた。通算成績は1963試合で打率・277、280本塁打、1073打点、38盗塁。1メートル89、96キロ。右投げ右打ち。

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2014年11月11日のニュース