最大7差からついに0.5差!阪神 能見復活ショーで首位巨人に肉薄

[ 2014年8月10日 05:30 ]

<神・広>初回2死、丸の痛烈な打球を太腿で止める能見

セ・リーグ 阪神5-4広島

(8月9日 京セラD)
 巨人の背中をしっかりと捉えた。阪神は9日、自身6連敗中だった先発の能見篤史投手(35)が7回1失点と好投し、5―4で広島に勝利。能見は5月24日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)以来の6勝目を挙げた。首位の巨人が中日に敗れたため、ゲーム差は0・5に肉薄。10日にも、今季初の単独首位に躍り出る可能性が出てきた。

 連敗の長いトンネルを抜けると、喜びが込み上げてきた。9回2死一塁、守護神の呉昇桓(オ・スンファン)が小窪を空振りの三振に切り捨てた瞬間、一塁側ベンチの能見は大きく息を吐いた。自身の連敗を6で止め、2カ月半ぶりの勝利。「きょうは粘り強く投げられたと思う」と言い聞かせるように振り返った。

 和田監督は左腕の女房役に、開幕戦でバッテリーを組んだ清水を起用した。「特に能見に関しては引き出しを持っている」。5月31日の日本ハム戦(札幌ドーム)以来、今季7試合目のスタメンマスクだったが、これが奏功。これまで失点が目立った序盤は、チェンジアップを有効的に駆使。緩急でタイミングを狂わせて広島打線を翻弄(ほんろう)した。7回を1失点に抑えた能見は「何とかゼロで抑えられれば、チームに勝ちが付くと思っていた」と必死さを強調。指揮官も「初心に帰ってマウンドに上がったと思う。(今季4回目の)清水とのコンビも良く、本来の姿だった」と評価した。

 試合後、能見のユニホームの左ポケットが、久々に膨らんでいた。敵地での巨人戦に先発した7月12日は長男・凌成(りょうせい)くんの4歳の誕生日だった。シーズン中に迎える長男、長女の誕生日には、当日に一番近い日につかんだ勝利球を贈ると決めている。プロ10年目にして「初めて」登板日と息子の誕生日が重なり、愛息に「ボールもらってくるわ」と宣言。だが、結果は6回2失点で黒星を喫し、その後も2試合に登板しながら、いずれも負け投手。約1カ月遅れで、ようやく贈り物ができた。

 よみがえった背番号14の力投を支えるように打線も奮起した。下半身の張りで欠場したマートンの穴を、今季初めて5番に起用された新井がしっかりと埋めた。2打数2安打1打点。1―0の4回無死二、三塁では、貴重な右犠飛を放ち「最低限の仕事ができました。能見が勝って良かった」と汗を拭った。

 3位広島に連勝して、最大7だった首位・巨人とのゲーム差を0・5に縮めた。10日にも今季初、昨年6月12日以来となる単独首位の可能性が出てきたが、和田監督は「気にならないかと言われれば、そうではない」と不敵に笑う。大黒柱が戻ってきた猛虎軍団の刃(やいば)は、しっかりと巨人に向けられている。

 ≪100試合目で首位なるか≫阪神が広島に連勝。今季の阪神はナイターは35勝36敗1分け(勝率・493)と負け越しているが、デーゲームは18勝9敗(・667)と強さを発揮している。この日は首位の巨人が敗れたため、その差は0・5ゲームまで接近。阪神が10日の広島戦で勝ち、巨人が中日に敗れれば今季初めて単独首位に立つ。阪神はここまで99試合を消化しているが、シーズン100試合以上で初めて首位に立つと、08年巨人の131試合目以来、6年ぶり。阪神では1リーグ時代の48年に60試合目、2リーグ制以降では73年の59試合目が最も遅いシーズン初首位。100試合を過ぎて立てば球団初となる。

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