甲子園 史上初の開幕2日順延 各校練習場確保で右往左往

[ 2014年8月10日 05:30 ]

甲子園のグラウンドには水たまりができる

 第96回全国高校野球選手権大会は9日、甲子園で開幕予定だったが、台風11号接近の影響で開会式と1回戦3試合が2日後の11日に延期された。台風の速度が遅く、10日も天候が回復しないと主催者が判断した。開会式の順延は1920年の第6回大会、60年の第42回大会以来3度目で、開幕日から2日連続で全試合中止となるのは史上初めて。第1試合に登場予定だった春日部共栄(埼玉)は練習場の確保に追われた。

 台風余波をもろに受けた球児の夏。96回という長い大会史でも初の開幕から2日順延に、球児たちは翻ろうされてしまった。

 大会本部は、この日午前5時から甲子園球場内の事務所で開催有無や今後について協議。台風の速度が遅く、10日も天候の回復が見込めないとの判断から、午前5時15分に2日間の延期を決めた。集客が見込めた週末2日間の試合がなくなったが、日本高野連の竹中雅彦事務局長(59)は「警報が出ていますし、安全が最優先。天候には勝てない」と経緯を説明した。

 異例の事態は、大会初日に試合予定だった6校に追い打ちを掛ける。大会本部は甲子園のある西宮市に大雨洪水警報が出ていたことを憂慮。雨天中止の場合に通常行う甲子園室内での練習も中止にした。このため京都の龍谷大平安を除く5校は練習場所の確保に奔走。春日部共栄は大阪府内を迷走するはめになった。

 午前11時半に兵庫県伊丹市の宿舎から大阪府富田林市内の練習施設に向けて出発して近くまで行ったものの、富田林市に大雨警報などが出たため宿舎にUターン。新たに確保した兵庫県西宮市内の施設に到着したのは午後3時前だった。まさにドタバタの直前調整。本多利治監督は「順延も練習場を求めて途中で引き返すのも初めて。いろんなことがありますね」と苦笑いして続けた。「きょうやっていたらなあ。金子が凄く良かったのに」

 そのエース金子はブルペンで切れのあるボールを53球。「この状態を維持するだけ」と話し、右膝を痛めている主砲・守屋も「膝のために延びて良かった」と前向きに捉えた。ただ、台風が接近する10日も甲子園室内は使用不可。球児の夏の混迷は続く。

 ≪開会式雨天順延は54年ぶり3度目≫開会式が雨天順延となるのは1920年の第6回大会、60年の第42回大会に続いて54年ぶり3度目。また、大会が2日続けて雨天中止となるのは09年の第91回大会以来となる。ただ、09年は高知―如水館戦(1回戦)が2日続けて試合途中降雨ノーゲームとなっており全試合がプレーボールがかからず順延となるのは決勝戦が2日順延された75年の第57回大会以来。開会式から2日続けての順延は史上初めて。

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