いまだノーヒット男がお立ち台!西武 4点差逆転0・5差

[ 2012年9月23日 06:00 ]

<西・日>8回無死一、二塁、スリーバントを決める西武・鬼崎

パ・リーグ 西武5-4日本ハム

(9月22日 西武D)
 パ・リーグはまだまだ混戦だ!2位・西武は22日、日本ハムとの首位攻防戦第2ラウンドで4点差を逆転勝ち。3連勝で、0・5ゲーム差に迫った。1点を追う8回に、普段は守備固め要員の鬼崎裕司内野手(29)が難しい局面でスリーバントを決めて2日連続の逆転劇につなげるなど、渡辺久信監督(47)の執念の采配にナインが応えた。23日に勝てば、14日以来の単独首位。4年ぶりのリーグ優勝へ、一気に同一カード3連勝を狙う。
【試合結果】

 興奮はいつまでも収まらない。3万3913人の大観衆の前で、浅村とともにお立ち台に上がったのは、今季13打数無安打の鬼崎だった。天王山に連勝した渡辺監督は「凄くプレッシャーがかかったと思うけど難しい場面でよく決めてくれた。あのバントは本当に大きかった」と称えた。

 渡辺監督が勝負に出たのは、1点を追う8回だ。日本ハムのセットアッパー、増井に対して、中島の中前打と中村の四球で無死一、二塁。ここで5番のオーティズに代えて、代打に鬼崎を送った。9月に入ってこれが2打席目。当然のごとく、日本ハム内野陣は極端なバントシフトを敷いたが、ベンチのサインは「基本はバント。ただ、打てるなら打て」だった。

 相手のシフトを見た鬼崎は2度バスターを試みたが、見逃しとファウルで2球で2ストライクと追い込まれた。しかし「気持ちでやるしかない。根性でバントした」と、3球目を投前に転がした。執念のスリーバント成功に、鬼崎はガッツポーズだ。1死二、三塁。ナインが燃えないわけがない。「素晴らしい流れをつくってくれた」と続くヘルマンが右前に同点打を放つと、さらに代打・カーターの遊ゴロの間に決勝点を奪った。

 渡辺監督は鬼崎の起用について「堅実。何より一生懸命練習している」と説明した。昨季途中にヤクルトから西武に移籍してきた5年目。出番は少ないが、連日、2、3年目の若手に交じってアーリーワークで汗を流す姿を見ていた。鬼崎もこのバントに懸けていた。「(ヤクルト時代に)宮本さんからこんこんとバントについて教えてもらった」。その極意が大事な局面で生きた。

 渡辺監督は7回にも2点差の状況で「まだイニングがある。チャンスはあると思った」と無死一塁から一気に同点を狙うのではなく、炭谷にバントを指示。2死から好調・浅村の中前適時打で1点差とし、2試合連続の8回の逆転劇につなげた。9回は二塁の浅村を左翼に回し、ベンチ入り野手は16人全員を使い果たした。まさに全員野球でつかんだ勝利。指揮官は「最後は選手がいなくなっちゃった。チーム力で勝った」と目を細めた。

 左腕骨折で離脱している主将・栗山が福岡に遠征中のチームに合流し、結束を呼び掛けてから3連勝。最短で25日にも優勝マジック9が点灯する。「首位になるチャンスをもらえた。全力でやる」と渡辺監督。逆転Vへ、風は西武に吹いている。

 ◆鬼崎 裕司(おにざき・ゆうじ)1983年(昭58)4月7日、佐賀県生まれの29歳。佐賀工―関東学院大―富士重工を経て、07年大学生・社会人ドラフト3巡目でヤクルトに入団。11年5月に小野寺とのトレードで西武に移籍した。プロ通算成績は137試合で打率・205、3本塁打、13打点。1メートル77、77キロ。右投げ左打ち。

 ≪25日にもM9点灯≫西武が3連勝で首位日本ハムに0・5ゲーム差に詰め寄った。4点差を逆転したが、今季西武の4点差以上の逆転勝利は、6月30日に同じ日本ハム戦(西武ドーム)で0―5→10―5と5点差をひっくり返したのに次いで2度目だ。この日は先発の石井が自己ワーストとなる2/3回で降板。西武の先発投手が1回未満で降板しながら、チームが勝ったのは06年6月24日ロッテ戦以来6年ぶり。前回は先発の松坂が故障のため降板後、5投手を起用し4―3で逃げ切っている。なお、西武が23日の日本ハム戦、25日の楽天戦に連勝し、日本ハムが25日のロッテ戦に負けるか、引き分けで西武に優勝マジック9が点灯する。

続きを表示

この記事のフォト

2012年9月23日のニュース