手術明けの松坂 来季再契約には9月が正念場

[ 2012年8月29日 06:00 ]

<レッドソックス・ロイヤルズ>5回終了時、ボールを観客席へ投げ入れるレッドソックス・松坂

ア・リーグ レッドソックス5―1ロイヤルズ

(8月27日 ボストン)
 松坂の復活勝利にレッドソックスのボビー・バレンタイン監督は「さらに先発機会を得ることになるだろう。このあと2回、3回、4回、もしくは5回。良い状態でシーズンを終えるかもしれない」と語った。エース右腕ベケットを含めた主力選手のドジャースへのトレード放出により、若手への切り替えが懸念されたが復帰戦の快投で今後も登板機会の確約を得た。

 だが、今年が6年契約の最終年となる松坂にとって、9月の1カ月こそが勝負となる。レ軍のベン・チェリントンGMは「彼は手術で1年間投げられなかった。もう少し彼の投球が見たい」と話している。また、ある大リーグの球団スカウトは「トミー・ジョン手術を受けた選手がシーズン途中で復帰した場合、翌年契約するかを見るのは9月の登板。復帰直後の成績よりも最後の1カ月の成績を見ることになる」と語る。レ軍のみならず、大リーグ球団はその1点に注目している。

 大リーグ関係者は「現時点で松坂はメジャー契約を勝ち取れるか微妙なところ。契約は1年で、年俸は200万ドル(約1億5800万円)前後だろう」と話す。昨季はわずか3勝で今季もまだ1勝。今季年俸1033万ドル(約8億1600万円)の右腕は、来季は大幅減俸どころか、メジャー登板の確約すら得られない可能性も秘める。
 「今季は(自分に)あまり高いものを望まないようにと思っている。それは来年以降だと割り切ってやる」と話す松坂だが、残りの登板は、来季へつなぐためにも無駄にできない。

 ◆トミー・ジョン手術 損傷したじん帯を切除し、他の正常な腱の一部を移植する肘の再建手術。成功率は90%前後で実戦復帰まで8~12カ月とされる。74年にドジャースのトミー・ジョン投手が左肘の腱を断裂した際に、チームドクターだったフランク・ジョーブ博士が初めて行ったことから名付けられた。ジョンは46歳まで術後15年間もプレー。松坂は昨年の6月10日にルイス・ヨーカム医師による執刀で同手術を受けた。

 ≪先発で477日ぶり○は最長≫日本投手の50勝到達は4人目。1位は野茂の123勝で、現役メジャーでは黒田(ヤンキース)が7月18日に達成した。50勝到達時の敗戦数33は、野茂の42敗を抜いて松坂が最少。また、松坂の477日ぶりの勝利は、先発勝利→先発勝利のブランクでは過去最長。全体での勝利ブランクでは、藪(ジャイアンツなど)が05年5月20日の救援勝利から08年4月14日の救援勝利までの1060日が過去最長だ。

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2012年8月29日のニュース