ステップ幅の差…9敗目の沢村“吉見の足跡に負けた”

[ 2012年8月29日 06:00 ]

<巨・中>3回、5連打で3点を失った巨人・沢村(中央)

セ・リーグ 巨人1-5中日

(8月28日 秋田)
 足元を固められず沢村は敗れた。巨人・沢村拓一投手(24)が28日、中日戦で自己ワーストの12被安打、同ワーストタイの5失点で5回KOされ9敗目を喫した。苦しんだのは秋田こまちスタジアムのマウンドと、中日・吉見一起投手(27)とのステップ幅の違い。慣れない地方球場で投手の舞台といえるマウンドに対応できず、相手エースに完敗した。

 セットポジションに入ろうとした沢村が、交互に両足をぶらつかせるシーンが目立った。スパイクの裏についた土を降板するまで気にしていた。

 苦しんだ理由は3つあった。(1)はマウンドの傾斜だ。試合前、橋上戦略コーチは「ここはマウンドの傾斜がなだらかだから、投手は球が浮きがちになる」と言った。傾斜がなだらかな場合、踏み出した足の着地点は普段より高くなる。わずか数センチ。だが、その分だけ体全体の動きが上に向く。低めへの意識を強くしなければ、ボールは角度が付かず高く浮く。

 (2)吉見との半歩の差。「吉見のステップが広いからね。それもあった」と川口投手総合コーチ。沢村のステップ幅が6足。一方の吉見は6足半。沢村が踏み出した足の爪先部分が、ちょうど吉見の足の位置で掘れた部分と重なり、さらにバランスを崩したという。

 (3)はマウンドの軟らかさ。「(傾斜が)なだらかだし、少し軟らかかったね。水をまき過ぎたのかな。5月の時とは全然、違った」と川口投手総合コーチ。沢村は同じ秋田での5月13日ヤクルト戦で7回無失点で3勝目を挙げた。今年2度目の登板。しかし、前回とは違った土の軟らかさに感覚がブレてしまった。

 3つの状況を克服できずに5回5失点KO。12被安打のうち、低めを打たれたのは3回に荒木に投じたスライダーだけ。3回の5連打のうち、3本が初球の高めに入った球。低めに制球し、一度しか連打を浴びなかった吉見とは対照的な投球で沢村は「阿部さんの要求するものに対応できないコントロールの甘さがあった」とうなだれた。

 マウンドについて「全く気にならなかった」と振り返った相手エースとの勝負は、投げる前に決まっていた。

 ▼巨人・原監督(2位・中日相手に敗れマジック26のまま)早い回に5点は重い。(沢村は)相手エースと競った試合で投げる力を持っている投手。あしたまた、切り替えてやります。

 ▼巨人・阿部(沢村について)マウンドで冷静に投げることだね。ただ、不運な当たりも多かったか。

続きを表示

この記事のフォト

2012年8月29日のニュース