12年越し雪辱!内海、第二の故郷・福井で13勝目

[ 2011年8月31日 06:00 ]

<巨・横>7回2/3を無失点に抑え、ハーラー単独トップの13勝めを挙げた内海

セ・リーグ 巨人3―0横浜

(8月30日 福井)
 巨人の内海哲也投手(29)が30日、横浜戦で7回2/3を6安打無失点。13勝目は防御率とともにリーグ2冠だ。福井県営球場は敦賀気比3年だった00年の夏に福井大会の決勝戦で敗れたマウンド。4047日ぶりに立った同じ場所で、11年分の成長を見せた。チームは3連勝でリーグ最速の50勝到達。首位ヤクルトとは2・5ゲーム差。エース左腕は最後の追い込みを始める。

 試合後、移動のバスに乗る直前、たまらずトイレに駆け込んだ。「緊張した。いつもより緊張した」と繰り返した内海の表情が、重圧の大きさを物語っていた。12年越しのリベンジだった。

 ほろ苦い記憶を振り切るかのように腕を振り続けた。序盤は制球に苦しみながらも無失点で切り抜け、6回2死一、二塁の一発出れば同点のピンチでは筒香を外角に落差の大きいカーブで空振り三振。11年前の当時、「あのカーブは高校生は打てない」とプロのスカウトに絶賛された同じ球種で窮地を脱した。

 敦賀気比3年の00年7月31日。福井大会決勝で延長戦の末、福井商に2―3で惜敗した。不祥事で出場辞退したセンバツの分もと誓い、準決勝、決勝と2試合連続の延長戦で投じた314球。左肩が激痛に襲われながらも1人で投げ抜いたが、甲子園にあと一歩届かず、涙を流した。京都生まれだが、「故郷と言っても過言ではない土地」と愛着の強い福井県営球場で4047日ぶりのマウンド。ただの1試合ではなかった。

 お立ち台の第一声は「11年ぶりに帰ってきました」だった。大事な忘れ物を取りに戻った左腕を「地元」のファンは、大歓声で迎え入れた。

 「苦い思い出で終わっていたのできょう勝って良い球場になりました。福井の皆さんのおかげで粘り強く投げられた」

 7回2/3無失点の快投。13勝、防御率1・55はリーグトップ。99年の上原以来球団史上12年ぶりの2冠も見えてきた。「本当の柱になったよ。素晴らしい。どういう状態でもしっかり抑える」と川口投手総合コーチも目を細めた。

 4月15日以来最多タイの貯金2で3位に浮上し、首位のヤクルトと2・5ゲーム差。貯金3で5割理論を掲げる指揮官は「あと一つとったらお話しするよ」と笑みを浮かべ、「彼の育ったところで白星。本人も(2連敗と)白星から遠ざかっていたしチームにとっても大きい」と声を弾ませた。「残り39試合。投げる試合は全て勝つつもり」と福井の夜空に誓った内海。エースの特別な白星でツバメの背中がはっきりと見えてきた。

 ★内海と福井県営球場 敦賀気比のエースとして迎えた3年夏の福井大会決勝の舞台。前日の準決勝・若狭戦で延長13回を1人で投げ抜き、決勝でも山岸(ヤクルト)、天谷(広島)を擁する福井商と延長10回の激闘を繰り広げ、1点差で敗れた。この年のセンバツは出場を決めながら部員の不祥事で辞退。夏に懸ける思いが強かったため、涙を流し「もう1年このメンバーでやりたい」と悔しがった。

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