松井いきなり!メジャー“最速”初安打&初打点

[ 2011年2月26日 06:00 ]

紅白戦の1回1死一、二塁、クレーマーから中前適時打を放つ松井

 新天地で満点デビューだ!アスレチックスの松井秀喜外野手(36)が24日(日本時間25日)、紅白戦に5番・DHで先発出場。1打席で交代したものの、中前適時打を放っていきなり勝負強さを発揮した。2・24に安打を放つのはメジャー9年目で最速。今後は打ち込みの量を増やし、ホワイトソックスなどで通算521本塁打を放ったフランク・トーマスも行った練習法を取り入れて完全復活を目指す。

 豪快にバットを振り抜くと、鋭いライナーが中前へ抜けた。初回、同じく新加入の3番デヘスス、4番ウィリンハムの連打で一、二塁とすると、松井は2ボール1ストライクから外角に甘く入った87マイル(約140キロ)直球を強振。基本に忠実な打撃で走者を還した。

 「久しぶりの感覚でしたけど、ある程度ボールも見えていた。甘く来たらいこうと思っていた。いい練習になった」

 移籍初打席初安打初打点。いきなり結果を残すあたりが松井らしい。久々の打席。事前には「偶然打てることはあるかもしれないけど…。打てないと思う」と自己分析していた。しかし2球目のファーストストライクから果敢に打ちにいってファウル。対左腕は昨季、打率・236と低迷したが、最後は昨季2勝の技巧派左腕・クレーマーを苦もなく粉砕した。

 打線の中軸として迎えられた新天地。期待されるのは、09年ワールドシリーズMVPを獲得した時のような勝負強さと、打者を還す能力=打点だ。チームは昨季663得点でア・リーグ14球団中11位。いきなりの理想の形にゲレン監督も「大変印象的。いい初日になった」とご満悦だ。

 もちろん本人は、1本の安打で満足していない。フォームが固まっていない段階とあって紅白戦を1打席で辞退すると、すぐさま打撃ケージでトス打撃。計112スイングを黙々と打ち込んだ。キャンプインから3日間で1日平均68スイング。今後も振り込む数を増やしていくが、そこに首脳陣による復活サポートのスパイスも加味される。

 「とにかく数を打ち込ませたい。納得のいくまで振らせたい」とペリー打撃コーチ。今後は守備練習中の特打や、DH制が採用されないオープン戦の際はマイナーの試合に参加させるプランを描いている。同コーチは05年に12本塁打に終わったトーマスに同じ練習法を指示。結果、トーマスは翌06年に39本塁打、119打点でチームを地区優勝に導いた。練習で振り、試合で振り――。もちろん膝の状態が順調だからこそ可能な再生術を、松井にも施すつもりだ。

 「いい打席を重ねていって、徐々に内容も伴った結果が出るようにしたい」。完全復活へ、ゴジラが快調に滑り出した。 

 ≪打線の厚み増した≫昨季のア軍はクリーンアップが固定されず、チーム得点663はリーグ14球団中11位と貧打に泣いた。特にチーム得点圏打率・241は同13位と、チャンスでの弱さが目立った。今季は新加入の3人がクリーンアップに座り、昨季4、5番を務めたクーズマノフとスズキは6番以降の下位に。スウィーニーは外野の控えに回るなど、打線の厚みは確実に増しそうだ。

 ◆フランク・トーマス 1989年ドラフト1巡目でホワイトソックスに入団。主にDHを務め、93、94年にはリーグMVPを連続受賞した。05年は左足故障でわずか34試合出場で打率・219、12本塁打、26打点。首脳陣に衰えを指摘され、同年オフに年俸50万ドル(約4100万円)でア軍に移籍。ペリー打撃コーチの指導もあって06年に再ブレークした。通算成績は打率・301、521本塁打、1704打点。10年2月に引退表明。

 ≪恩師の須藤氏も活躍“太鼓判”≫松井の入団時に巨人のヘッドコーチを務めた須藤豊氏(73)が、キャンプ地を訪問。フリー打撃や紅白戦もチェックし「表情が明るいねって聞いたら、“毎日焼酎を飲んでいる人とは違いますよ”って言われた。いいコンディションであることが会話の中から分かる」と笑顔で話した。25日(日本時間26日)の紅白戦で4番を打つ可能性も出てきた松井に、「期待していいんじゃないか」とエールを送った。

 ≪マツイグッズもいよいよ登場≫いよいよ松井グッズが登場する。キャンプ地では28日から、緑色の松井Tシャツが1枚30ドル(約2500円)で販売開始。本拠地オークランドではホーム用ユニホームが199ドル(約1万6300円)、漢字で「松井」と入ったTシャツが30ドルで、それぞれ4月1日のマリナーズとの開幕戦から売り出される。この日は野球カード用の撮影など、フォト・デーに参加した松井。ローズ広報部長は「たくさんのファンに買ってもらえればうれしい」と話した。

続きを表示

この記事のフォト

2011年2月26日のニュース