青木がMVP弾!!夢舞台で復活の手応え

[ 2009年7月25日 06:00 ]

<全パ・全セ>スタンドのファンに笑顔で手を振る青木宣親

 【オールスター・全セ10―8全パ】青木、MVP弾だ。「2009マツダオールスターゲーム」第1戦は24日、全セのヤクルト・青木宣親外野手(27)が9回に逆転2ランを放ち、10―8で全パを下した。青木は06年の第1戦以来2度目のMVPを獲得。シーズン中は不振に悩んだ天才打者が、夢の球宴で復活の手応えをつかんだ。通算成績は全セの69勝74敗8分け。第2戦は25日にマツダスタジアムで行われる。

【試合結果
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 満面の笑み。一塁を回ったところで右手を突き上げた青木は、本当にうれしそうな顔でダイヤモンドを一周した。1点を追う9回無死一塁。日本ハムの守護神・武田久から右翼へ逆転2ランを放つと、日本ハムファンが多くを占めた札幌ドームのスタンドは静まりかえってしまった。「ホントに僕ってKY(空気読めない)だと思いました!」。お立ち台でそう言うと、ファンは爆笑で応えてくれた。
 「完ぺきでした。シーズンを通してもホームランもヒットも打ってませんから。野球が久しぶりに楽しかったです」
 ベンチに帰るとすぐさま「おまえ、シーズン中に打てよ」と宮本にからかわれた。本人も驚いた逆転アーチにMVP。それほどシーズン中の不振は深刻だった。昨年までのプロ5年間で、生涯打率・338を誇る男が極度の不振。開幕から2割前後をウロウロし、一時は2割8分を超えたものの現在は・249。3月のWBCでの疲労に、フォームなどメカニック面の狂い…。軸が不安定で、打席ごとにフォームが変わる姿にヤクルト・淡口打撃コーチも「青木はまだ青木じゃない」と言う。この日の試合前も「今、心が折れるくらい病んでます…」と苦しい胸のうちを明かしていた。
 「やっぱりここ最近は、野球の楽しさを分かっていなかった。確かに仕事だけれど、野球は本来楽しいもの。きょうの試合でリフレッシュできればいいですね」
 極度の不振でも、夢舞台にはファン投票で選出された。この日は球宴用に金色のスパイクを新調。6回には中越え二塁打も放ち、そして9回の逆転弾につなげた。前回WBCが開催された06年の球宴第1戦(神宮)でもMVP。3年後、再びWBCイヤーで主役に躍り出た青木には、やはりお祭りムードが似合う。「これだけの選手がいるし、パワーをもらえた気がします」。試合後にはWBC組の選手と食事にも出掛けた。シーズン中、不振に沈んでいた時の顔がウソのように、その表情は晴れやかだった。
 MVPの賞金は300万円。「何が欲しい?」と報道陣に聞かれた青木は「ヒット!」と即答した。「でもこればっかりはお金じゃ買えないんで…。MVPを獲ったし、これをきっかけにしないとね」。お金では買えない、そのバットからしか生み出せないもの。希代の安打製造機は後半戦、どん欲に安打だけを追い求めていく。

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2009年7月25日のニュース