毎回13Kで完投!菊池が甲子園に帰ってくる!

[ 2009年7月25日 06:00 ]

<花巻東・盛岡一>逆転勝利で甲子園出場を決めた花巻東・菊池雄(中央)は指を突き上げチームメートと喜びを爆発させる

 2季連続出場だ!今センバツで準優勝した花巻東の菊池雄星投手(3年)が24日、全国高校野球選手権(8月8日開幕、甲子園)の岩手大会決勝に臨み、盛岡一を相手に毎回の13奪三振を奪い、4安打に抑えて完投。2―1で下し、2年ぶり5度目の出場を決めた。今ドラフトの超目玉が春の雪辱を果たすべく、日本一に向けて聖地のマウンドに立つ。

【試合結果


 最後の打者を打ち取ると、菊池は人さし指を天へ突き上げた。そして両手を広げ、ナインを迎え入れると歓喜の輪の中心で笑顔の花を咲かせ続けた。
 「なぜかリラックスしてました。こんなに緊張しなくていいのかなと。苦戦することはしたけど結果オーライ。100点です」
 完全に戦いを支配した。4回に守備の乱れをきっかけに先制点を許したが、ここから「2点目を取られたら負けだと思って力を入れた」とギアを切り替えた。5回以降は1人の走者も許さないパーフェクト投球。今大会では準決勝まで直球の割合は全投球数の80%を超えていたが、この日は最速150キロの直球に頼る力任せの投球ではなく、122球中53球をスライダーが占めた。これこそが清峰(長崎)の今村との投げ合いで、あと一歩で栄冠を逃した今春センバツで得た最大の教訓だった。「今村君に冷静さを学んだ」。最後の1球を投じる前には、マウンド上で両手を広げ大きく深呼吸する気合のポーズ。直球を投げるように見せかけて、スライダーを選択した。
 終わってみれば、毎回の13奪三振で4安打に抑えて完投。打者としても1点を追う7回無死二、三塁では自らのスクイズで同点。一塁への気迫のヘッドスライディングが敵失を誘い、場面の変わった1死一、二塁から柏葉の中前打で二塁から一気に決勝のホームを踏んだ。
 「春に比べ成長した」。今大会で菊池が口にし続けた言葉だ。配球はもちろん、センバツではチームのリズムをつくるため投球間隔は3、4秒だったが、今大会では時に十分に間を取った。この日も終盤は6秒以上の投球間隔もつけ、「春は勢いだけ。投げ急がないテンポは意識的にやりました」と胸を張った。
 宿舎から球場へ向かうバスではナインのリクエストに応じた曲が流れる。この日の選曲はコブクロの「君という名の翼」。♪もう一度あの夏空、あの風の向こう側へ君という名の翼で…♪。07年夏の甲子園で初戦敗退した記憶、そして今春。聖地の記憶すべてが歌詞とともによみがえった。
 「今まで日本一(という言葉)は封印していたが、やっと狙える舞台に立てる」と佐々木監督。菊池も「春と夏は別物。でも自分のピッチングをすれば打たれない自信はある」。その目はしっかりと頂点をとらえている。

 <盛岡一 善戦に観客席は拍手>31年ぶりの夏甲子園にあと一歩届かなかった。4回1死一、二塁から6番・中村の中前適時打で先制も、今大会ここまで5試合をほぼ1人で投げ抜いてきた菊池達が7回に2安打に味方の失策も絡んで逆転を許した。それでも県内屈指の進学校の健闘に観客席は惜しみない拍手。杉田監督は「展開は狙い通り。終盤は菊池君が上だった」と敗れて悔いなしの表情だった。

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2009年7月25日のニュース