西武お待たせ優勝!渡辺監督号泣で舞った

[ 2008年9月27日 06:00 ]

<日・西>優勝を決めた渡辺監督は歓喜の胴上げ

 男泣きの渡辺監督が4度宙に舞った!優勝マジックを1としていた西武は26日、日本ハムに零敗。しかし、2位オリックスが楽天に敗れたため、4年ぶり21度目のリーグ優勝が決まった。4連敗でのV決定は史上初の“珍事”となったが、今季は4月5日から首位を独走。就任1年目の渡辺久信監督(43)は昨季26年ぶりのBクラスに沈んだチームを見事な手腕で再建し「球団改革元年」で栄冠をつかみ取った。

【西武優勝パネル


 万感の思いが込み上げた。オリックス大敗から5分後に試合終了。試合には敗れたが、一塁側ベンチはすぐに感動に包まれた。号泣する大久保打撃コーチに抱きつかれた渡辺監督も「今までのことを思い出して…」と人目もはばからずに男泣きした。そして、ゲームセットから11分後、スウィーニーのヒーローインタビューが終わるのを待ってから歓喜の胴上げ。北の大地で4度宙に待った指揮官は声を震わせながら西武ファンが待つ右翼席に一礼し、左翼席の日本ハムファンにも頭を下げた。
 「選手は今年1年頑張ってくれた。勝てない時もあったけど、一戦一戦力をつけて強くなった選手を私は誇りに思う。つらい練習をやってきた汗と涙の結晶。忘れられない優勝になりました」。記念撮影ではベンチへ帰ろうとする裏方を呼び戻して前列に誘導した。チーム全員で勝ち取った栄冠に誰もが酔いしれた。
 松坂という絶対的な柱を失った昨季、チームは26年ぶりのBクラスに低迷した。さらに昨年3月に裏金問題が発覚。高校生ドラフトでは上位2人の指名権も失った。観客動員数は12球団最低。どん底の中で昨年10月、チーム再建を託された。
 渡辺監督は「個性派集団をつくりたい」という方針を打ち出し、キャンプからシーズンにかけて一度も選手をしかり飛ばすことはなかった。3月20日、オリックスとの開幕戦は黒星。全員の前で敗戦につながるミスを犯した選手を黒江ヘッドコーチが注意しようとしたが指揮官は「今年のウチはそういうチームじゃないんで。しかるようなことはしないでください」と制し、チームの進むべき方向性を明確にした。
 2軍監督時代はミーティング中に同僚とじゃれ合う涌井を「引きずり回して半泣きさせた」こともある熱血監督からのイメージチェンジ。それでも人の子。大敗してイライラしたときは愛車で「コブクロ」のCDを聴きながら帰路につき、気持ちを落ち着かせた。そして「唯一の憩い場」と話す近所の「ドン・キホーテ」で雑貨を見ながらストレスを発散した。
 3番中島、4番ブラゼル、5番G・G・佐藤、6番中村の打順を五輪期間までの96試合中、89試合で固定。「スロースターターの選手もいる。まずは信頼しないと」と指揮官。その結果、中村は本塁打キングを独走中。昨季左投手相手はスタメン落ちしていた栗山は3割を超す成績を残している。ミスにおびえることのない安心感が積極性を生んだヤングレオは4月5日に立った首位を最後まで守り通した。
 4年ぶりのリーグ制覇。渡辺監督はビールかけのあいさつで絶叫した。「朝6時前に帰ってきたらバッキ~ン!」。現役時代から変わらない豪快さ。ひとしきり祝杯を浴びた後は、やるべきことが残っている。43歳の青年監督が率いる個性派集団は、新たな黄金時代を築くため、力強く前に進み始めた。

 ≪ビール1600本が歓喜のシャワーに≫祝勝会が札幌プリンスホテルの臨時屋外テントで行われ、約15分間でビール1600本が歓喜のシャワーと化した。小林球団社長が後藤オーナーのメッセージを読み上げたが、あいさつが長引いたため、胸に「レーザーレーサー」と書かれた水着で水泳・北島康介のコスプレをした平尾が社長へビールを噴射し「何も言えねぇ」と絶叫。赤田選手会長の音頭で本格的にビールかけが始まった。大久保打撃コーチは「(目にしみて)つらい。でも最高だ~」とまだ泣いていた。

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2008年9月27日のニュース