大の里 天敵討ちで横綱初V 覇気がない…「二度としたくない」屈辱バネに8年半ぶり日本出身横綱の賜杯

[ 2025年9月29日 04:30 ]

大相撲秋場所千秋楽 ( 2025年9月28日    両国国技館 )

<大相撲秋場所千秋楽>優勝決定戦で豊昇龍(左)を寄り倒しで破る大の里(撮影・郡司 修)
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 大の里(25=二所ノ関部屋)が13勝2敗で並んだ豊昇龍(26=立浪部屋)との横綱同士の優勝決定戦を寄り倒しで制し、横綱昇進後初となる2場所ぶり5度目の優勝を果たした。日本出身横綱の賜杯は17年春場所の稀勢の里(現・二所ノ関親方)以来、8年半ぶり。09年秋場所の白鵬―朝青龍以来、16年ぶりとなった横綱同士の決定戦を力で制し、角界に新たな時代の到来を告げた。

 横綱初Vの瞬間、大の里は小さくうなずいた。不戦勝を除き過去1勝6敗だった豊昇龍戦。本割ではもろ手突きから一方的に押し出された。それでも決定戦では、前日に二所ノ関親方から言われた「淡々といきなさい。考える必要はない」という助言を胸に秘め、相手の強引な上手投げに耐えて最後は豪快に寄り倒した。重圧を乗り越えつかんだ賜杯。25歳は「横綱2場所目の優勝は(石川県出身の)輪島さんもそうだった。並ぶことができて良かった」と話した。

 新横綱として臨んだ先場所は、ワーストとなる4個の金星を配給。4敗目を喫した13日目の翌朝、「顔に覇気がないな」と案じた師匠から、「ここを乗り越えないと。そうすれば、また一つ強くなれる」と奮起を促された。夏場所後は昇進伝達式や凱旋パレードなど多忙を極め、横綱土俵入りや負けられない重圧も経験した中、最後の力を振り絞り、残りを2連勝。「もうあの経験は二度としたくない」と誓った今場所で、横綱初場所で味わった屈辱と経験をバネにして見事に復活を遂げた。

 期待も力に変えた。先月、しこ名の由来になり「相撲の神様」とも呼ばれた元大関・大ノ里の故郷の青森県藤崎町内で、大ノ里の兄のひ孫で天内家の当代にあたる天内司さんと再会。記念撮影に応じ、「頑張ってください」と声をかけてもらった。天内さんも「最高位の責任があることは、ひしひしと感じていると思う。若いので相撲道に邁進(まいしん)してほしい」とさらなる期待を寄せていた。

 長丁場だった8月の夏巡業は最終日前夜に、付け人ら約10人の力士と食事会を開催した。「みんなのおかげで乗り切れた。焼き肉をたくさん食べて楽しかった」。相撲を愛する心と、周囲への感謝。魅力たっぷりの青年横綱は、唯一無二の横綱へ、ここから何度も賜杯を抱いていく。 (中村 和也)

≪09年秋“青白”以来≫
 ◆09年秋場所千秋楽、朝青龍―白鵬の優勝決定戦 全勝の朝青龍は1敗の白鵬と対戦した本割で寄り切られ、決定戦へ。その一番は朝青龍が立ち合いから左を差し込み、投げで揺さぶって懐に潜り込む。最後は右からのすくい投げを決め、29歳の誕生日に北の湖に並ぶ24度目の優勝を飾った。

≪二所ノ関親方「進化しています」≫
 師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)はビデオ室担当として審判部内のビデオ室で大の里の優勝を見届けた。本割では敗れたが、決定戦までの短時間できっちり修正できたことを評価。茨城県つくば市で行われた部屋の打ち上げパーティーの会場で取材に応じ「ホッとしています。地道な基礎運動をやってきたから今までなら投げられていたのを体を寄せていった。進化しています」と話した。愛弟子は入門から3年足らずで5度目の優勝。「まだまだ。これがスタート地点。もっともっと精進しないと」とさらなる成長を求めた。 

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