柔道・井上康生氏 日本代表監督時の「改革」語る 「不安よりやってやろうという気持ち」東京五輪は金5個

[ 2025年6月2日 23:03 ]

井上康生氏
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 柔道の日本代表男子前監督でシドニー五輪100キロ超級金メダリストの井上康生氏(47)が1日深夜に放送されたテレビ朝日系「GET SPORTS」(日曜深夜1・40)に出演。野球の日本代表「侍ジャパン」前監督で日本ハムのチーフ・ベースボール・オフィサーを務める栗山英樹氏(64)と対談し、自身が監督時代に行った改革について明かした。

 井上氏は史上初の金メダルなしに終わったロンドン五輪後の12年11月に柔道男子代表監督に就任。打診を受けた際には「憧れではあったが、このタイミングではないと思っていた」と、当時の心境も明かした。「(当時)34歳の若造が重責を担えるのかという声も聞いた」というが「不安要素よりもやってやろうという気持ちが大きかった」と振り返った。

 就任当初から男子柔道復権に向けて改革を断行。まずは「自主性を持って主体的に動くチーム」を目指し、選手の意識を変えたという。身だしなみや言葉遣いといった日常生活を重視。「主体性と個性を磨く中で、規律はイコールだと思っていた。一見、反対ではあるが非常にリンクしたポイント」と説明した。

 次に組織改革に着手。自身は東海大出身だが、出身大学や過去の成績にこだわらず「いかにプロフェッショナルな人を入れるか」を意識したという。栗山氏は「自分のやりやすい形になりがち。理解はできるがなかなか行動することは難しい」と驚いた。井上氏は「いろんな議論があっても最終的には俺が決める」と伝えたといい、「だからこそ(会議の)席上ではどんなことでも言い合ってほしい」と活発な意見交換でチームを活性化させたという。

 さらにトレーニング改革も行った。ボディービルダーとしても活動する岡田隆氏をコーチに招へい。筋肉への知見を生かしたトレーニングで世界の強豪に立ち向かうフィジカルを強化した。自衛隊の活動にも参加し、選手には高所訓練なども体験させたと明かし、「生きた試合のなかではきれいごとでは済まないこともある。整理された中で育成してそれに対応できるかというと、そうではないと感じていた」と説明。“効率”と“非効率”の両方を重視しながらチーム力を高めたことを振り返った。

 情報分析にも新たな要素を取り入れた。強化委員会の科学研究部から石井孝法氏を招き、新たなシステムを構築。4万試合以上のデータから「どういう確率で技がかかっているか、やられているかを数値化してもらえた」という。4000人以上の審判も分析し、技ありや指導の傾向もつかんだ。「五輪は全世界の人が見ているので“技で勝敗を決したい”という傾向がある」と、他の世界大会に比べて指導のタイミングが遅いことも把握した。

 16年リオデジャネイロ五輪では金2つを含む男子7階級全てでメダル。21年東京五輪では史上最多の5つの金メダルを獲得した。井上氏は監督時代を「誇り」と振り返り、「柔道だけでなく日本で生きていける誇りを忘れずにいろいろなところで頑張っていきたい」と締めくくった。

 栗山氏は対談を振り返り「指導者として今回初めて話して、勉強になった」と語った。さらに「自分を生かす仕事から組織を生かす仕事。超一流のプレーヤーがそこに行くのは大変なこと」と感銘を受けた様子だった。

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