【高校ラグビー】激戦区大阪で新設 履正社の挑戦 8日始動

[ 2025年4月8日 08:00 ]

高校ラグビーの激戦区、大阪に新風を吹き込むことができるか。履正社高校ラグビー部ヘッドコーチに就任した鈴木康太氏(撮影・吉仲 博幸)
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 高校ラグビーの激戦区に新しいチームが誕生した。大阪のスポーツ強豪校、履正社高校(豊中市)が新設したラグビー部は4月8日の初練習で記念すべき第一歩を記す。集まった新入部員はFW10人、BK9人の計19人。17人が中学校やスクールでの経験者だという。ヘッドコーチ(HC)に就任した鈴木康太氏(43)は1日付で同校職員として着任したばかりだ。やや緊張した面持ちで現在の心境を明かした。

 「日本一を目指して強化していくというところで、そこに共感しました。常に挑戦したい気持ちは持っていましたし、やりがいや情熱を注ぎ込みたいなと思っています」

 高校野球や高校サッカーの強豪として知られる履正社。2019年夏の甲子園大会は井上広大(阪神)を擁して全国制覇を果たした。サッカー部も全国大会の常連で、22年のW杯カタール大会日本代表FW町野修斗(ドイツ1部キール)らを輩出している。ラグビー部は13年度まで存在していたが、部員不足の波にあらがえず、いったん活動を終えていた。だが、W杯での日本代表の活躍を受け、ラグビーの教育的価値を見直す議論が学内で高まり、新しい指導者を迎えて強化を目指す方針が23年秋までに固まった。

 ラグビー部の設立理念は(1)真のリーダーシップとフォロワーシップをグラウンドで学ぶこと(2)競技力と言語技術を磨き、世界中に友だちをつくること(3)人と世代をつなぐ普遍的なクラブ文化を醸成すること。かつてのラグビー部とは理念や取り組みが異なるため、「新設」という形で再スタートを切った。

 鈴木HCは日生学園二(現青山)、国士舘大出身。大学卒業後、ニュージーランド留学を経て04年8月にクボタ(現リーグワン東京ベイ)入りし、日本の最高峰リーグでプレーした。主にLO、FL、No・8で活躍し、16年3月に現役引退。17年4月から八千代松陰高(千葉)に専任教諭として赴任し、25年3月まで保健体育科教諭、ラグビー部ヘッドコーチを務めた。履正社が求めた『ラグビー指導歴3年以上、もしくは競技者としてトップレベルの経験を有し、教育への関心が高い人物』にうってつけの人材と言えるだろう。

 「ラグビーは練習をすれば上手になっていきますが、まずチームのために何ができるのか、そこはすごく伝えたいところで、そのためにしっかり考えて行動させたいなと思っています。目標達成のためには何をすべきなのか。例えば、日本一になるには応援されるようなチームにならないといけないですし、身だしなみや私生活、時間もきっちり守らなければいけません。目標達成のために、グラウンド以外のところでも、自分たちで主体性を持ってやってもらえたらと思います。どんどん成長する時期だと思いますので」

 冬の花園大会における大阪勢の優勝回数上位校は、常翔啓光学園7度(全国3位)、東海大大阪仰星6度(同5位)、常翔学園5度(同7位)。09年度以降22年度まで大阪から冬の花園大会に出場した学校は常翔学園、東海大大阪仰星、大阪桐蔭、大阪朝鮮高のみで、14年間この4校が3枠ある大阪代表の座を分け合ってきた。23年度は、当時創部11年目だった関大北陽が初出場を決めた。大阪から花園初出場校が誕生したのは03年度の大阪朝鮮高以来、実に20大会ぶりのことだった。

 激戦区の大阪にあって、花園出場は容易なことではない。8年間、千葉県の高校ラグビー界に携わった鈴木HCは「もちろん、すぐに(花園大会出場)というわけにはいかないと思っています。地道に少しずつ前に進んでいけたら、目標につながっていくのではないかと思っています」と足もとを見つめる。

 練習拠点は箕面市内の人工芝グラウンド。トレーニングルームも併設され、充実した環境が整う。4月中旬にはニュージーランドのマッセイ高校ラグビー部員が来日する予定で、履正社のラグビー部1期生の家庭にホームステイする予定だ。指揮官は「一緒に練習して、文化も吸収してほしい」と期待を寄せる。初の対外試合は4月中旬、京都成章の1年生チームと対戦する予定だ。初の公式戦は6月の7人制大会になる見通し。冬の花園大会につながる秋の大阪府予選まで約6カ月だ。「自分にしか伝えられないこともある。もう一度、真剣に向き合って勝負したい」と鈴木HC。全国屈指の激戦区大阪に風穴をあけることができるか――。履正社高校ラグビー部の挑戦が始まった。(吉仲 博幸)

 ◇鈴木 康太(すずき・こうた)1981年(昭56)4月9日生まれ、愛媛県出身の43歳。日生学園二(現青山)、国士舘大出身。卒業後、ニュージーランド留学を経て04年8月にクボタ(現リーグワン東京ベイ)入り。主にLO、FL、No・8で活躍。10年4月に筑波大大学院人間総合科学研究科に入学し、コーチングを学ぶ。13年3月に同研究科体育学専攻博士前期課程修了。16年3月に現役引退し、17年4月から八千代松陰高(千葉)に専任教諭として赴任。25年3月まで保健体育科教諭、ラグビー部ヘッドコーチを務めた。ことし4月から履正社高職員。 

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