新弟子検査の体格基準撤廃で運動能力テストが12年ぶり復活「小さくても強くなれる」小兵力士誕生に期待

[ 2024年4月19日 16:49 ]

<新弟子二次検査>国技館のアリーナで50メートル走を行う元村康誠(撮影・前川 晋作)
Photo By スポニチ

 大相撲夏場所(5月12日初日、東京・両国国技館)の新弟子二次検査が19日、東京・両国国技館のアリーナで行われた。

 身長1メートル67、体重67キロの体格基準に満たない者が運動能力テストを受ける「第二検査」が12年ぶりに復活。背筋力、握力、反復横跳び、ハンドボール投げ、上体起こし、立ち幅跳び、50メートル走の7種目が行われ、ただ一人受検した身長1メートル59・5センチ、体重67・6キロの元村康誠(15=佐渡ケ嶽部屋)が合格点を満たした。

 元村は小学4年時に出場した白鵬杯で大きな選手を大熱戦の末に破り、その動画がネット上で拡散されてテレビでも取り上げられたことがある。検査に立ち会った審判部長の高田川親方(元関脇・安芸乃島)もそれを知っており「有名力士ですよね。見てましたよ。身体能力が高くて楽しみですね」と期待を込めた。

 昨年9月、入門の門戸を広げるために新弟子検査の体格基準が緩和。身長1メートル67、体重67キロに満たなくても運動能力テストの結果によって合格することができるようになった。日本相撲協会によると、身長150センチ台の力士は1941年(昭16)夏場所初土俵の鳳龍(ほうりゅう、入門時は1メートル57)以来で、戦後初となる。

 現役時に身長1メートル75の小兵ながら関脇まで番付を上げて活躍した高田川親方は「小さくても運動神経が良くて意欲のある力士がどんどん入ってくれれば、本場所もおもしろい相撲が増えてくると思います」と体格基準撤廃を歓迎。「相撲は体が大きければ強くなるわけじゃない。努力する素質がある人間が強くなると思う。自分に合った相撲を追究していけば強くなる要素も出てくる。小さくても強くなれるところを見せてもらえるような力士になってくれたら、今後にもつながっていくのではないかと思います」。階級別ではなく体重無差別で戦う相撲ならではの魅力を語り、新たな小兵力士誕生を期待した。

 「運動能力テスト」は、2001年春場所から2012年春場所まで行われており、1メートル73、75キロ以上の体格基準に満たない者も1メートル67、67キロ以上であれば受検可能だった。この第二検査合格者からは、豊ノ島(元関脇)、磋牙司(元幕内)、鳰の湖(現幕下)、益荒海(元十両)、栃丸(現序二段)の計5人の関取が誕生している。また、昨年名古屋場所で新十両に昇進した輝鵬(25=伊勢ケ浜部屋)は新弟子検査時に1メートル65だったが、学生横綱で幕下15枚目格付け出しの資格を有しているため特例で体格不問となったこともある。

続きを表示

この記事のフォト

「羽生結弦」特集記事

「テニス」特集記事

2024年4月19日のニュース