松山英樹 マスターズ2度目Vへ こだわった“相棒”14本を用具担当者が明かす「一番楽しみ」

[ 2024年4月5日 05:00 ]

21年、マスターズを制し、グリーンジャケットを着て喜ぶ松山(AP)
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 男子ゴルフの今季メジャー初戦、マスターズは11日から4日間、米ジョージア州のオーガスタ・ナショナルGCで開催される。“ゴルフの祭典”開幕を前に米ツアー通算9勝の松山英樹(32=LEXUS)のクラブを深掘り。ツアーレップ(用具担当)を務める住友ゴム工業の宮野敏一氏(43)の証言を基に、21年以来の大会2勝目を目指す戦いの“相棒”に迫った。

 クラブのプロの視点だからこそ、感じとれることがある。ミリ単位で微調整を施す松山が、大一番を前に整えたクラブセッティング。21年の優勝もツアーレップとして支えた宮野氏=写真=は「あの時のようなクラブの雰囲気がしています」と証言した。3年ぶりのマスターズ制覇を目指すこだわりの詰まった14本。そこにはあえて変えたところ、絶対に変えないところがあった。

 マスターズもアジア勢最多の9勝目を挙げた2月のジェネシス招待と同じセッティングで臨む見込み。ただし、見た目には分からない変化がある。アイアンのスリクソン・Z―フォージド2(4I~PW)はジェネシス招待の翌戦、アーノルド・パーマー招待から重心位置を変えた新たなものを使用しているのだ。

 「ちょっとしなりが欲しい」という松山のリクエストに対応したもの。「最近のスイングを見ている中で重心距離を変えた方がいいのかなと。重心距離が長くなっていて、負荷がかかった分しなりになる。最後はプロの感覚になるけれど、バッチリ合ったという感じです」(宮野氏)。実際に投入直後の同大会は第2日に首位に立つなど12位。松山自身も「アイアンを変えたことで良い雰囲気になった」と語った。クラブ自体はもとより“あえて変える”姿勢に32歳の探究心が垣間見える。

 そして絶対に変えないのが、代名詞とも言えるウエッジだ。クリーブランド・RTX4フォージドの52、56、60度の3本。クラブのソール(底)の突起部分であるバウンスの角度を限りなくゼロに削っており、これはマスターズの舞台であるオーガスタ・ナショナルGCを想定したものだという。

 宮野氏は「松山プロと僕の中ではオーガスタの地面は基本的に硬いという認識があって、限りなくバウンスが薄い方がフェースを開ける。より飛ばないので、より振ることができてスピンがかかる」と説明する。コースの特徴ごとにウエッジを替える選手もいる中で、松山はマスターズを見据えたクラブでシーズンを通じて戦う。その姿勢は「僕が見ている限りはずっと変わらない」と明かす。

 最適なクラブを提供するため、宮野氏は各会場の練習場で松山の打席の後ろに立ち、その一打一打を見守っている。「僕が担当になった中では一番楽しみな感じで迎えられると思っています。数字もあるんでしょうけれど、数字に表れない球のつかまった感じが凄く良いんです」と期待感を口にした。13度目となるゴルフの祭典。妥協なき14本の相棒とともに、2度目のグリーンジャケットを狙う。 (中村 文香)

 【現在のクラブセッティング】
 ▼1W=スリクソン・ZX5 Mk2 LS(ロフト角9・5度、硬さTX)▼3W=テーラーメイド・Qi10(15度)▼5W=コブラ・King RadSpeedツアー(17・5~19度)▼4I~PW=スリクソン・Z―フォージド2▼ウエッジ=クリーブランド・RTX4フォージド(52、56、60度)▼パター=スコッティキャメロン・プロトタイプ(ピン型)▼ボール=スリクソン・ZスターXV

【21年マスターズクラブセッティング】
 ▼1W=スリクソン・ZX5(ロフト角9・5度、長さ45・25インチ、硬さTX)▼3W=テーラーメイド・SIM2(15度)▼3U=テーラーメイド・SIM UDI(アイアン型)▼4I~PW=スリクソン・Z―フォージド▼ウエッジ=クリーブランド・RTX4フォージド(52、56、60度)▼パター=スコッティキャメロン・ニューポート2 プロトタイプ(ピン型)▼ボール=スリクソン・ZスターXV

 ◇宮野 敏一(みやの・としかず)1981年(昭56)1月30日生まれ、神奈川県出身の43歳。外資大手メーカーで03年から青木功、尾崎将司、不動裕理らを担当した。20年1月に住友ゴム工業に入社し、現在はDUNLOP SPORTS AMERICAS駐米プロ担当。

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